表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/53

格闘皇女推参

 さて、挨拶を済ませたわけだが、もう一件用がある。


「ゼヘリ、うちの、こちらのエルフの僧侶ルーナが、治療の手伝いをしたいと言うのだが、どうしたらいい」


 ゼヘリはそれに対して、首を持ち上げてルーナを見て微笑んだ。


「気持ちはありがたいが、これから君は他の仲間を癒さねばならないだろうから、温存しておきなさい、しかしその気持ちは、七騎士の一人として深く感謝を示させてもらう」


 ゼヘリは、そう言うとわざわざ寝転んでいたにも関わらず、ベッドから降りて地に膝を付けて、頭を下げた。


「そ、そんな騎士様がそんなにしては」


「ルーナ、しっかり受け取りなさい、七騎士は民草であれ、貴族であれ、感謝を示す際は最高の礼を尽くす、断る事は逆に無礼だ」


 僕はルーナの遠慮が、逆に礼を失する事を注意した。そう、これが僕達アルシャの七騎士の決まりだ、相手が誰であれ……それこそただの民草の子供から貴族まで、礼には最大の礼を尽くすのだ。


「そ、そうでしたか……ありがとうございます、風騎士様」


「はは、なら一つ頼みに、スカート捲ってもーー」


 言うと思ったわと、下心見え見えなゼヘリが全てを言い切る直前、キラン!とエニー、エンディ姉妹が目を光らせ、するりと背後に回り込み……。


「「それっ!」」


 二人がそれぞれ、片膝を持ち上げ、ルーナをM字開脚で抱え上げたのだった。


「ふぇ?」


 突然の事にキョトンとするルーナ、しかし膝をついていたゼヘリが眼前の、ルーナの下着を見れる場所にて固まっていた。


「は、は?はいてな、ぶばぁはぁあ!?」


「はぁあ!?」


 そしてゼヘリは鼻血を吹き出して仰向けに倒れるのだった。僕はゼヘリの今際の際に吐いたセリフと、下されてスカートを押さえるルーナを見て尋ねた。


「あのー、ルーナさん?下着は?」


「き、昨日お洗濯に出してまして……今は馬車の中で干してます」


「つまり?」


「履いてません」


「もう三着くらい、買いなさい……お金出すから」


 つまり、ゼヘリのやつルーナの花園見ちゃったのかと、僕はゼヘリを見下ろして、ゼヘリは僕に目を合わせて右手親指を立てた。


「リデ、僕は今日死んでもいい」


「アホか」


 そんな事で死ぬなと僕は、とりあえず包帯とガーゼを貰いに行く事にした。




 ゼヘリの鼻にガーゼを詰め、僕達はゼヘリの許可を得て、森を抜ける事にしたのだが……僕はこの森の惨状に閉口せざるを得なかった。


「その……すごいですね、死臭?でしょうか?モンスターの死んだ匂い……が、満遍なく広がってます」


「うへぁー、魔力の流れが凄い歪んでる……頭クラクラしそう」


「お姉ちゃん私も……どうなったらこんなに歪むの」


 ルーナがまず、モンスターの死臭の凄まじさに気付き、エニー、エンディ姉妹が森の魔力の歪みに気付いた。


 魔法使いだからか、魔力の満たされる感覚、流れが悪いと身体にも影響が出るらしい、かく言う僕も、この死臭、いや……獣臭が残留する感覚に体が震えた。


 そして、森の奥地に聳え立つ城を見て、息を飲む。


「おそらくもう、モンスターは出てこないだろうね、皇女様の力に怯えて活動できない……このまま真っ直ぐ、道なりに行こう」


 彼女を閉じ込める化け物の檻も、最早意味を成さない。自分達も襲いに来たりしないだろうと、僕はこのまま真っ直ぐに城を目指す事にした。


 が、僕は一つ間違いをこの時点で犯していた。


 そう、彼女はそもそも今『城内』に居るとは限らない。


 さっきまであの戦線で暴れていた事を、そして何より……。


 僕が彼女と交わした『約束』を、すっかりと忘れていたのだった。


「よし、じゃあ今から城へーー」


『闇騎士様ぁぁああああああ!!』


「行くげぼぁああああ!!」


 迂闊だった、僕は真上から来た衝撃に耐えれず、地面に叩きつけられてしまった。そして、何とか後頭部に腕を差し込み頭だけは守ったが息ができなかった、何故か?目の前に見えるリボンをあしらえた下着に、明るくも辺りを覆い被せた布、まずい!色んな意味で!


「むぁく!んむああ!」


「やぁん、息をなさらないで闇騎士様、やっぱり私を攫いに来てくれたのね!」


 本当忘れてた、そんな約束したかなぁ……けどまずい、しっかりと固めて逃げられない!とにかく抜け出し……。


「よいしょー」


「おうわ!?きゅっっ!?」


 あ、だめだ、頸動脈がしま、意識が……。僕は目の前で驚く四人の女性を見て、意識を手放した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ