ここは地獄の何番道路!?メディンの町改めて、メディン防衛線!
カルブキを越え、ナーロウを超えて更に西。メディンの町……を更に西へ行くと、森に突き当たる。
メディンの町は、他の町とは全く違う。まず民草は居ない、居るのは鎧甲冑身に付けた兵士、そして、まるで戦争を始めるかの如き、攻城弩や大砲が設置されている。
この森に放たれているのは、様々なモンスター。おおよそ普通の冒険者ならば対峙しない強さのモンスター達である。
だが、その弩や大砲は、そんなモンスター達に向けられた兵器では無かった!
森を抜けた先にある古城。
そこには、アルシャの第四皇女が幽閉されていた。
しかし!猛獣の檻すらも彼女には無意味に等しい!
週に二度、彼女は森を駆け抜けて、街に侵攻する!
何の為か!?
理由はただ一つ!!
自由を得る為である!!
「急げ急げ!怪我人はすぐに医療舎へ!」
「壊された柵をすぐに打ち直せ!また3日したら来るぞ!」
僕は、久々に見る慌ただしい景色を見てクスクスと笑った。本当にここは変わらない、毎日忙しいし煙は上がっているし、兵士はごった返している。
あたりでは破壊された柵やら掘り返された地面、そして何かクレーターが出来てる家屋に、倒れ伏す兵士と、この地に来たって実感がしてならない。
「いやー、流石アルシャ皇国領内、最も配属されたく無い勤務地8年連続1位だ、メディンの町……いや全く、メディン防衛線は地獄だぜぇ!」
「メディン防衛線!?町じゃ無いの!?」
「リデさん!?今防衛線って言いました?防衛線って言いましたよね!?」
「「て言うかリデの口調が変わってないですかぁ!?」」
僕が町と言ったこのメディン、それを防衛線と言い直すとヴァルスとルーナは二人してどういう事だと声をあげた。エニーとエンディは僕の口調が変わっている事に驚いた。
ああ口調も変わるさ、それくらいにこの防衛線を週二回この惨状にしちまう馬鹿げた皇女様を、叩きのめしてふん縛って連れて行くのだから。
本当、勇者達と逆に城へ行った時はよくまぁ生きていたと思い出す。そうして馬車から降りるや、早速兵士の一人がこちらを見て駆け寄って来た。
「旅の方か?ここからは一般市民は侵入禁止となっている、お戻りいただけないだろうか?」
「騎士だ、じゃじゃ馬姫を尋ねに来た、駐在の騎士は今居るか?」
僕が騎士勲章を提示したら、兵士は即座に直立不動となった。
「た、大変なご無礼を!お通りください!」
許可を得て、僕はヴァルス達に頷けば、メディン防衛線へ入る事になった。さて、他にも尋ねなければならない事があるなと、僕は仕事に忠実な勤労精神の兵士に尋ねる。
「今駐在を担当している騎士はどちらに?」
「現在こちらには風騎士様が駐在しています!今は戦闘後の為医療舎にて治療を受けているかと!」
「ありがとう、ここを生きて帰れたらこれでいいご飯食べなよ」
僕は兵士に金貨を一枚手渡してやった。そうか、今は風騎士が駐在か、大丈夫かあいつはと、僕は早速彼の顔を拝みに行く事にした。
医療舎には……それはもう死屍累々と、酷い有様だった。包帯に巻かれ添え木で固定された者が大半だ。
しかもだ、それが、さらに二棟はあって満室と来た。治癒魔法の為に僧侶達が引っ切り無しに動いて、エーテル剤の空瓶が大きなバケツで満タンになり積まれている。
「あの、リデさん……私も彼女らを手伝った方がいいでしょうか?」
ルーナはこの有様が、オークとの戦いの時に重なるのか、手伝いたいと言い出した。
「そうするにしても、いきなり入ったら連携が崩れるから、僕から駐在の騎士に尋ねてあげるよ、気持ちは分かる」
助けたい気持ちは分かるが、いきなり部外者が入れば連携が取れないと、僕はまず駐在の騎士に会うからそれからにと、ルーナを諭した。
しかし……騎士がこう、あれだ……女四人も引き連れたらまぁ目を細められる。場違い感が半端ではない。
医療舎の一つに入り、僕は彼を探して……見つけた。
「やぁゼヘリ、相変わらずボロボロだな、あの御転婆の相手は骨が折れるだろう」
そこにあるベッドに、腕を固定されて髪から右目あたりまで巻き込んだ包帯をした男に声を掛ける。包帯上からでも分かる、銀髪の色男が、ポカンと僕を見て、ニヤリと笑った。
「リデじゃあないか!はは!一体どうした?まぁ見ての通り僕はあの御転婆に骨折られたよ!」
彼は笑って僕を出迎えてくれた。




