自暴自棄、ダメ、絶対
「死 に た い よ う」
さて、何から話そうかな、まず……人生自暴自棄になってはいけないよねって話。僕は今、カルブキの中でも特に豪華なホテルの一室に宿泊している。
うん、お金があるっていいよね、美味しいご飯、温かな寝具に、その他もろもろ。お金があればある程度自由が効く。
あの時もそうだったな、ジンが僕の出した金貨袋を見てさ、ありがとうありがとうって、どうしようもなかったの分かる。あいつ、鎧も剣も売ろうとしてさ、それを必死で止めて、3日時間をくれと僕は言った。
リファもエドも、装備を売り払う気でいたしリファに至っては踊り子に転職してでも路銀を稼ぎにかかろうとした。
で、だ……記憶はあるよ、別に二重人格じゃないからさリディアンって。あれは僕が苛立ちやら自暴自棄やら、とにかく乗せられて自棄になって勢いに任せてあんな風になるだけなんだ。
勇者との旅路でもさ、調子に乗った。そしたら、もう皇国からの定期的な活動資金が必要無くなるくらいに稼いだ。悲しくなって全部勇者に渡したけど。
広い部屋の中にあるテーブルに積まれた、大きな革袋にはそれはもう、溢れ出るほど金貨が入っていた。1晩働いて、もう普通の平民らしい生活をしたらこれだけ稼げてしまうのだ。僕は。
ただ、尊厳やら何やら色々失うけど。
「そんな悲しい顔をなさらないでリディアン様ぁ」
「本当に楽しく、気持ちよかったです」
タオルケット代わりとばかりに、裸体のエニーとエンディが僕に覆い被さり体をくっつけてきている。僕も裸だ、さっきまでリディアンでステージに立ってたし。
結論から言えば、僕はドSパフォーマーリディアンとして、ショーを見事に成功させた。観客満員御礼、アンコール、投げ銭まで貰い、オーナーのスァーギタはほくほくとしていた。
僕は尊厳やら何やら失った、そしてステージにてパートナーとして、エニー、エンディ……さらにらヴァイス、ルーナをステージに上げて、それはもう酷いことをした。
でもだ、エニー、エンディはともかくだ。
ヴァルスとルーナまでノリノリだったのは少しばかり唖然とした。特にルーナは他人に汚された身だから、絶対嫌がるだろうと思ったら一番激しく悶えていた。
「そもそも君らもさ、大衆の面前で辱められて嫌にならないかな?」
今更ながら二人に聞いてみる。
「今更ですよ、こうして肌を晒して踊ってますし、リディアン様と会うまでも定期的にショーで悶えてましたから」
「それに、魔法使いとして働くよりも稼ぎがいいですからね」
そして今更すぎた、魔法使いは稼ぎが少ないと言われているが事実だ、冒険者として身を立てれば命の危険にさらされ、学校教師は金払いが悪い、魔法薬店を開くにしても流行らなければ金にならない。
二人とも前まで冒険して、宝探しやら魔物討伐していたらしいが、踊り子として働いたらばかばかしくなってしまったのだとか。
「スレてるなぁ……ていうか、ヴァルスとルーナは?」
「リディアン様が皆を相手してから、二人でシャワーを浴びに」
「リディアン様が強制的にお互いを色々させたから目覚めたんじゃないですかぁ?」
あー……と、僕は眉間に皺を寄せた。そういえばステージで、二人に無理矢理絡み合わせたなと。めちゃくちゃウケ良かったが、マジでそっちに目覚めたのかと、シャワールームを見た。
うん、色々聞こえた。ヴァルスはそっちの気があったが、ルーナは目覚めたのかなと目を細めて、ふうと僕はため息を吐く。
「それはそうと」
「約束は、約束ですよリディアン様」
エニーとエンディは二人して笑いながら僕の首に左右から腕を回し、耳元で囁いてきた。
「「責任、取ってね?」」
僕は生気ない瞳をしていたと思うが、もはや二度と戻れない事を知った。
こうして、対ザンビゴファミリー戦力として、元魔法使いの踊り子二人を身請けする事となったのだった。




