復活のプリンス 上
「あんあん!リディアン様!リディアン様」
「かまってかまって!くぅうーん!」
ヴァルスとルーナは、エニー、エンディ姉妹がリデの足元に四つん這いで見上げ、舌を出して犬の真似をしている姿に唖然とする。まるっきり、雌犬の真似をしている、人間の尊厳を捨て去ったかの様に。
「ほぉ?雌犬2匹は偉くなったなぁ、この僕にかまってだとぉ?」
だが、それに優しさを見せるどころか言葉遣いに冷ややかな目を向けて、ビクン!と二人は跳ねて震えだす。
「ご、ごめんなさい、リディアン様」
「私たち、再会できて嬉しくて」
「言い訳を許したか雌犬共!!」
シュパァンッ!とステージに乗馬鞭を叩きつけるリディアン!
「ご!ごめんなさい!」
「許してくださいリディアン様!どんな罰も受けます!」
姉妹が額を地面に擦り付けて詫びる。それを見てスァーギタ、いや雄豚の椅子から立ち上がったリディアンは、ブーツを脱ぐ。
「あ、足綺麗」
そんな最中、ヴァルスはリデのおみ足がすごく綺麗なことに気付いた。26歳が嘘に見えるほど、無垢な白い足、本当に旅路を歩いてきたかも疑わしい程だった。
そんな足が、妹のエニーの頭を踏み、そしてぐりぐりと踏み躙ったのだ。
女の頭を!踏みつけているのだ!非道極まりない!しかし……あまりにもその足が綺麗で……ヴァルスも、ルーナも二人とも思ってしまった。
『『ふ、踏まれてみたい!絶対柔らかいし、痛く無さそう!』』
そして、姉のエンディに足を変えて踏みつけながら、リディアンは語りだす。
「そうかそうか……お前達、先程僕の雌猫2匹を口舌で嬲ったなぁ、ババァだの老婆だのと」
「「ひっ!?」」
ヴァルスもルーナも、口喧嘩で罵られたことを引き合いに出したリデこと、リディアンの話に、どうする気なのだと。そして私たち雌犬じゃなくて雌猫なのねと、区別された事に違いはどうなのだろうかと考えた。
「失態を晒した雌犬2匹……俺がステージで教えた雌豚式謝罪法はしっかり覚えているな?」
「は、はい……」
「それで、謝罪させていただきます」
「頭のいい雌犬だ、しっかりと謝意を雌猫達に示せ」
二人を口舌で嬲った罪を謝罪しろと、リディアンが命じる。雌豚式謝罪法とは何なのか、ヴァルスとルーナが見たのは……恥辱に塗れた尊厳破壊であった。
雌豚式謝罪法……それにより謝罪した二人は、床に倒れ伏し痙攣していた。そしてその二人の下には、暖かい異臭を放つ大きな水溜りが出来上がっていた。
ルーナは、リデが二人にこんな事をさせていたのかと一部を垣間見た。ヴァルスは、その謝罪を受けて、許すや許さない以前に、人はここまで尊厳を壊されて生きていけるのかと戦慄した。
二人が息を呑む……エニー、エンディ姉妹をまたぎ越して、いよいよヴァルスとルーナは、リデのもう一つの姿リディアンと対面した。
見下ろす目の冷ややかな事、それでも二人の心臓は跳ね続ける。恐怖ではない、未体験の領域に踏み込む興奮だった。
「耳長の雌猫よ……」
「は、はい!」
「…………」
「え、えっ?」
耳長の雌猫、それはつまりルーナのことを指すのは明白。しかして返事をしたが、返ってこなかった。ただ、見下ろして鞭を弄んでいる。無視されたのかと思ったルーナ、だがふと気付いた!
倒れ伏すエニーとエンディが何をしていたのか気付いて、ルーナは赤面しながら、四つん這いになり……。
「に、に、にゃあぁあ……」
精一杯、鳴いた。猫の泣き真似をした。それに対してリディアンは嘲笑う顔を見せて片膝を付き、ルーナの顎に手を差し伸べて、撫で始めた。
「にゃぁ、にゃああ……」
辿々しく猫真似をして手に頬擦りをするルーナ、リディアンは立ち上がり、そのままルーナの横に行く。そして乗馬鞭で、すすす、とローブのスカートをずらしていった。
「ふやっ!?」
「耳長の雌猫、貴様……何故下着をつけていない」
知っている癖に、エルフがシルク以外の下着は履けない、何より公的式典や正装をしなければならない時以外は、下着を履かないと。
「そ、それは」
喋った瞬間だった、パァン!という破裂した音が響いた。ルーナは鞭で叩かれたと思った。しかし!ほんのりと、ピリピリした痛みが広く広がった感覚に、硬直した。
尻肉に宿る熱の広さ、そしてリデを見て……鞭ではなく右手を振り抜いたのを見て、かぁあ!と赤面したのだった。
尻を叩かれたのだ、手で!ルーナの生右尻肉に、赤い手形がくっきりついてしまったのだ。
「雌猫がなぁぜ喋るん……だ!」
「ひぃあにゃああ!」
スッパァアアン!とまた尻がシバかれた。しかし、痛みよりも、その音だ。痛みと音が合ってない!まるで打楽器の如くルーナの尻は音を鳴らしているのである!
痛みよりも、恥ずかしさが凄い!
「雌猫、こんな尻を隠さずノーパンで旅とは、とんだ変態じゃあないか、えぇ!?エルフってのはやっぱり変態種族なんだなぁ!」




