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サディスティック・ボンテージ・プリンス

「伝説の雌豚調教師……」


「サディスティック・ボンテージ・プリンス……」


「僕の人生の……汚点だ」


「汚点なものですか、貴方は立派な雌豚調教師、サディスティックパフォーマーよ」


 ヴァルスてルーナがポカンとして僕を見つめている。僕はこの事を人生の汚点としていたが、スァーギタは胸を張りなさいと僕の背中をポンポンと叩き、乗馬鞭を差し出して来た。


「さぁ、この鞭を持ち変身なさい」


「いやしませんから」


 僕は鞭を押しのけてお断りした。


「そう、リディアン様とステージに立った私たちはもう、あれ以上の加虐、屈辱、快楽、その中の優しさに身も心も調教されてしまったの」


「本当に、凄かったわ、自分の身体じゃ無いみたいに気持ちよくて、別れてもずっと……リディアン様以外で果てる事は出来なくなったの」


 エニーとエンディが身体を悶えさせながら語り出し、それを聞いたヴァルスやルーナは……。


「えぇと、私たちもそう言えば、すんごい事されたりするけど……あれ以上なのかしら?」


「ヴァルスさん、逆かもです、リディアンの技術を応用して使ってくれてるのかも」


 後者です二人とも……いや本当、僕も凄い切羽詰まってたんだよなぁとしみじみ遠くを見たくなったが、窓がないんだよなここ。


「さ、て……本題に入ろうかしらん?」


 それはさておいて、スァーギタは僕を見つめて話を始めた。


「エニーとエンディ、その力を頼って来たのは分かるわ、しかし!金を積んで連れては行かせない……二人を連れて行きたいならば……責任取って見受けしなさい!そして明日のステージでリディアンとして出なさい、そうしたら!勇者の時のように鑑賞代金の三割を報酬にして!さらに身請け代金も無しで二人を連れて行かせてあげるわ!」


 それを聞いて僕は……金に目が眩んで分かったなんて言えなかった。


 何せ僕は、あの姿を嫌っていたし、あの3日間は、それはもう本当に、ヤケと酒の勢いで乗り切った部分もあったからだ。


 いや、確かに男にそんな事されて稼ぐよりかマシだったろう。しかし、あの衣装を着て、鞭を振り翳し……そして多分まだあるんだろうな、スァーギタと開発した様々な開発品で、女性達をステージで嬲るなんて……正直キツい。


 うん、二人は諦めよう。いいじゃないか、これで縁も切れそうだし。次行こう次、ギルドで路銀稼いでもう一人に協力を仰ごう、そうしようと、僕は立ち上がって、涼やかな顔でスァーギタに伝えた。


「お世話になーー」


「ねぇ、リデ……その、リディアンの姿……私見てみたいわ」


 なりました。そう言おうとした矢先、ヴァルスが顔に手を当てて、僕にそう言った。危篤なことを言い始めたなと僕はヴァルスに聞く。


「何でだよ、引くぞ、この上なく」


「引かないわよ……やっぱり嫌じゃない、私たちが知らなくて、その二人しか知らない姿があるなんて、嫉妬するわよ」


「いや、幻滅とドン引きしかないぞ」


「しませんよ」


 ルーナも続いた。


「何があっても幻滅しませんから……というか、ちょっと、興味あります」


「えぇー……いや、本当さ、まず二人に聞いてみ?どんな事僕がしたか、もう一気に幻滅するから」


 ヴァルスとルーナが身体に熱を持ち始めた、だからエニーとエンディに、その三日間ステージ僕ことリディアンに何されたか聞いてみろと、まず2人と話をしてみて欲しいと促した。


「で、一体どんな事されたの?」


「教えてくださいな」


「えーっとね」


「リディアン様は」


 ヴァルスとルーナが耳を預け、エニーとエンディが耳打ちする。30秒で頷き、45秒で相槌を打ち始め、1分後に息を荒げはじめた。


 ーー2分後ーー


「リデ……なりなさい、サディスティック・ボンテージ・プリンスに」


「私たちもステージに上がりますから!」


「どうしてこうなったぁああああ!!」


 赤面したヴァルスとルーナが、もう我慢ならぬと僕にそう宣告した。君らまで望んでるわけか!?人前のステージでだぞ!?叫ぶ僕に、スァーギタはニヒルに笑い言い切るのだ。


「最早……ドSの運命からは逃れられないの、さぁリデ!雌は貴方を求めている!今こそ変身して、彼女らのケツをしばき上げ!♀調教!♀してあげるのよ!」


 八方塞がりであった。もはや逃げる事など出来なかった。


 いや……最初から逃げ場など無かったのだ。責任からは、逃れる事などできない。


 それに、ルーナの故郷を、勇者が救済した大地を燃やし、蹂躙した輩を打ち倒すには、この二人の力は必要なのだから。


 僕はふらりと立ち上がった。それを見てスァーギタは、ニヤリと笑う。そしてわざわざ片膝をついて乗馬鞭を、献上するかの様に渡して来たのだ。


「さぁ、リディアン……楽園サドハラはドS王国の王子、マゾ雌豚の園栄誉調教師よ、今こそ目覚めの時!」


 なんつー設定作ってんだ、このオカマオーナー。僕は乗馬鞭を握りしめ……まるで十年来の持ち続けた得物の如くしっくり馴染む感覚に、ため息を吐いた。


 

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