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サンキュー勇者パーリィ

色々としてたら路銀が尽きた!!ヒモになるなんてプライドが許さない!!


 リデは本来の目的であるエルフ救出、ドン・ザルバトーレとザンビゴファミリー撃滅に仲間を集める為、そしてヒモ脱却の為ヴァルスとルーナと共にカルブキに向かう!


 カルブキで関係を持ったのは、踊り子で魔法使いの姉妹!金稼ぎの為にギルドを訪ねる気だったリデに、姉妹を雇うショーハウスのオーナーから、提案が言い渡される!!


「さぁ!伝説のサディスティックボンテージプリンスの復活よ!!」


 リデが昔、勇者パーティの資金難を救った一夜限りのショーが、再び幕を開ける!!


 こうして、僕達は……ザンビゴファミリー、ひいてはそれを統率するドン・ザルバトーレを倒し、攫われたリースタット集落のエルフを救出する為の、戦力を集める事になった。


 僕達は宿から西方角、アシュラ皇国領の都市、カルブキに進路を取った。


 が、僕はここで一つの事態に陥っていた。



「金がない」


「あら、お金なら私が出すわよ、たんまりあるから」


「そんなみっともない事できない!」


 路銀が尽きたのだ。


 いや、正確にいうならば『僕の財布』の路銀が尽きたのだ。勇者パーティから抜けた際、エドから貰った路銀、そして自分の路銀が尽きたのである。


 ヒルカから救出したエルフ達をリスティアに送る為馬車を雇った、そこで既に路銀が尽きてしまったのである。自分の路銀も宿をチェックアウトした時点で尽きてしまったのだ。


 西へ進み始めて最初の夕方、宿場町にたどり着いた僕は、ヴァルスにルーナを頼み、一人野宿する気で居たのだ。


「なら、今日はあなただけ野宿する気?」


「あぁ、そうするから二人で宿に……」


「まーさせないのだけど」


 ヴァルスにしっかり後ろ襟を掴まれる。


「いや、駄目だろ女に払わせるとか、紐じゃん、カルブキに着いたらギルドで依頼取って稼ぐからさ、それまで野宿でいいから」


「安心しなさい、私への借金なら身体での返済以外受け付けないわ」


「金より体!?いつから僕男娼になったの!?」


「金以上のこと毎晩して貰ってるんだから、私が払いたいぐらいよ、ほら行くわよリデ」


「ね、リデさん……野宿なんて駄目ですよ、3人でぬくぬくしましょう」


 ずるずると、女二人に宿へ引きずられる僕。


 3人で一室、シャワーとバスあり、朝食つけてちょうだい。


 あ、あとできれば空きの多い階を。


 では、307号室へ、どうぞお楽しみください。



ーーこうして、夜はぬくぬく、ぬぷぬぷ更けていった。




 本当、いつからこんなに体力ついたのかなぁ……宿場町を出る朝には、昨日よりすごくリラックスして元気だし、朝食は美味しかったし……腰が全く苦じゃないし。


「なんだかんだ言ってノリノリになってたじゃないリデ、結局私達が気を離しちゃったわ」


「リデさんのは宿り年じゃ無くても子供ができちゃうくらい凄いです」


 後ろの二人からは昨日の事が聞こえていた、そう、自分も悪いとわかってる。一度その気になったなら、もう止まらないのが自分なのだ。


 昨晩だって我慢しようとしたら、二人して僕の前でお互いが慰めようと……うん、これ以上はやめておこう。


 それはそうと、ルーナも旅装に着替えたわけだ。ヒルカの時のドレスのままは駄目だからと、ヴァルスが用立てた。白色ミニスカローブ、ロングブーツに、わざわざ魔法の杖まで買ってあげたらしい。


 因みに、シルク製下着は売り切れていたため、今なお彼女は下着をつけていない。カルブキで買おうと提案したのだが。


『あ、エルフは行事的なところ以外で下着を着る事はすくないので、大丈夫ですよ』


 と言ったのだが、大丈夫な訳がない。見えたらどうすると叱りつけたら。


『じゃあリデさんが稼いで買ってください』


 と言われてしまい、この人マジでカルブキまで下着無しで向かう気だった。


 まぁ、あと一日足らずでカルブキに着く、一度行った街だから覚えているし、そうしたらギルドで稼いでさっさとルーナの下着を買おうと、僕は歩みを早めた。


「ねぇ、そういえばなんだけど……」


 後ろからヴァルスが尋ねてきたので、足を止めて振り返った。


「何、ヴァルス?」


「あなた、どうして勇者パーティを離れたの?」


 ヴァルスの質問に、ルーナがえ?と反応した。


「リデさん、勇者パーティやめたんですか?」


「あー……追い出されたんだよね、うん」


「追い出された!何でですか!?」


 まぁ、そんな反応しちゃうよねと、僕は二人にどうして勇者パーティを追い出されたのか、話す事にした。


「まぁ、僕がやってた事が、やってた事だからさ……リスティアに辿り着いた時には僕は必要無くなったんだよね」


「やってた事……」


「それってあなたの女性遍歴?」


「それも一つだと思う、ていうか……ルーナ、君との夜、エドに見られてた、あの若い魔法使いに」


「えぇ!?」


 女性遍歴も理由の一つだろうと僕は思っていた、さらにルーナへ、あの慰めの夜は見られていた事を伝えると、ルーナは赤くなった。可愛いなやっぱり。辱めたくなる……何考えているんだと僕は頭から振り払った。


「まぁ、勇者ジンの為にさ、汚ねぇことしまくってたんだよ、魔物に関わってた要人を暗殺したり、情報を脅し取ったり……色々とね」


「確か、反勇者派閥の貴族とか居たのよね?」


「うん、そいつらの子息や令嬢を脅しあげたりもしたさ」


 それが僕の仕事だった、勇者パーティが、魔王討伐へ向かう為ゆったり歩く赤絨毯を敷く、そしてもう、リスティアに辿り着いたから任務は完了したのである。


「リスティアから先は、魔物との戦いだ、政敵に気兼ねする必要は無い……そして、第一次遠征で僕はボロボロになって、3日後追い出された」


「そうだったんですね」


 そのボロボロになったのは、ルーナの横にいる元魔王配下ヴァルスとの死闘でだが、それは伏せておいた。


「で、もう、すっごいけなされた、失せろ、とっとと帰れって」


「そんな!酷い!!」


「あんたそんな事言われてたの!?恩知らずもいいところじゃ……」


「別れる間際に、ピカピカの剣と、治療薬と、路銀を渡されながらな」


「は?」


「えぇっ?」


 そうだ、僕はある程度理解はしていたし、あからさまだった。何しろ怪我から回復してから、いきなり口調から何から無理して変えて、実は邪魔だと思ってたんだよと必死にジン達は雰囲気を作っていたのだ。


「僕のこの剣は勇者が多分夜なべして研いでた、目にクマがあった、この治癒薬は材料がいい薬草やら魔法薬の複合品、路銀は……新しい杖を買うための貯金をしてたのをわざわざ、渡しやがったんだよ……それで、あいつらが無理して演技じみた口調が、一番キツかった、そこまでさせちゃったと、今でも悔やんでる」


 僕は、はぁと溜息を吐いて俯いて、ヴァルスとルーナはうんうんと頷いた。


「勇者達、良い子なのね」


「いい子でしたか……」


「本当、こんな闇騎士にわざわざ義理立てまでする、良い奴らでしたよ」


 僕が微笑みを見せれば、ヴァルスとルーナは微笑んでくれた。


 ジン、また迷惑掛ける、だがしばらくは力を貸して欲しい。送った手紙の事を思い返して僕は、空を見上げた。

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