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エピローグ 準備をしに

 椅子の上で、僕はパイプの中のタバコに火をつけた。禁煙して数年……久々に僕はこいつを吹かすことにした。


 吸い口を甘く噛み、天井を見上げながら、窓辺からの朝日を体に受けて呆けてみる。


 ふう、と紫煙を吐いてから、僕はベッドに目を移し、痙攣する二人と、シーツどころか床や壁やら、さらには天井にできた水気の跡を見て、から笑いした。


「やっちまった……馬鹿だなもう、馬鹿だわ……」


 もうこのまま放っておいて一人どこかに逃げようかと思いながらも、まだ股座の分身が収まらない。パイプを灰皿に置き、椅子から立ち上がり、また僕は痙攣する二人の寝るベッドに向かった。


 そしてしばらくして、飛沫がまた部屋中に飛び散った。




「あぁ、素敵でした……久々のリデは」


「だめじゃないリデ、あんな凄い事してくれないなんて、まさかあんなに部屋中にしーーき(ピー)を撒き散らしちゃうほどの手ーー(ピー)なんて、私のが本当に壊れちゃうかと思ったわ」


「えぇ、本当に立ーーー(ピー)クでおーーー(ピー)させられるくらいされて、シャワールームで二人同時にまーーーーーー(ピーピー)させられてから、丁寧にクーー(ピー)でまたーーーー(ピーピピー)させられたら、もう忘れろなんて無理ですよ」


「そこからベッドでさらにーー」


「もうやめてくれないかなぁ、二人とも」


 宿の1階の酒場で、僕とヴァルスとルーナは朝食を取っていた。ルーナはうっとりと頬に手を当て、ヴァルスも赤い頬で僕を見つめる。


そして昨日から今朝までの行いを事細かに語り合いはじめたので、テーブルに額を擦り付けてやめてくれとお願いした。


 結論から言うなら、結局、ルーナも旅に同行する事になった。他の同郷エルフの女達からも。


『ルーナをよろしくお願いします!』


 と、頭を下げられた。そして首を横に振ろうとしたら。


『夜中はお楽しみでしたね』


 と、言われたので、首を縦に振るしかなかった。あの出歯亀エルフ達、聞いてやがったのだ。今度から消音の魔法を体得しようと決めた。


「それで、エルフ達を助ける為に?ドン・ザルバトーレ?だかを探すんだっけ?」


 ヴァルスが本題に入ってくれた、許されたのだろうか。僕は咳払いをして、頷きつつ話し始めた。


「うん、ザルバトーレは……奴隷売買に娼館経営、闇ギルド経営を一括する、ザンビゴファミリーのドンさ」


「マフィア、とかいうやつ?」


「そうだ、そいつとヒルカが繋がって、リースタットを襲撃し、こんな事になった……他のエルフ達はそいつが捕縛している、と……ヒルカは言ってたな」


 マフィア、ザンビゴファミリーのドン、ザルバトーレ。奴がリースタットを襲撃し、エルフ達を捕縛していると言うのが、ヒルカの情報だった。


「勇者が救ったリースタットを焼き払い、ルーナ達をこんなふうにしたザルバトーレを、見つけて殺す、ザンビゴファミリーも壊滅させる、それがこれからの目的なわけだ……」


「相手は一組織ってわけね……人間の結束って悪でも恐ろしいから、侮れないわ」


「故郷をあんなにした人を、許すわけありません……私も戦います」


「その為に……戦力が必要になってくるわけだが」


「なによ、人間のマフィア如き私の剣技なら取るに足らないわ」


 魔剣士に、エルフの治癒術師、そして闇騎士たる自分の3人で、ザンビゴファミリーを壊滅させ、残りのエルフを救い出す。しかし、組織力や人数の力では、まず敵わないのが目に見えていた。


 ヴァルスは僕がさらに戦力が要ると言うと、彼女は少し不満げに語るので僕はすぐにそれに返した。


「いや、ヴァルスの実力は知っている。しかし、人間の結束は強大なのだ、それが悪意によるものでも……それでヴァルスが何かあったらなんて、考えたくない」


「え、心配してくれてるの……」


「当たり前だろう……」


「やだ、子宮疼いたわ……ねぇ、明日は避妊薬飲まないで」


「飲むから、責任取れないから、まだ」


「まだ!?え、しかも明日もいいの?」


「あ、いや違う!とにかく……ザンビゴファミリーとやりあうなら仲間がいる!それで、これから心当たりを尋ねようと思うわけだ!」


 また話が逸れると、僕はヴァルスから無理矢理話を被せて地図を広げた。そして羽ペンをインクに浸し、地図の2箇所に丸をつけた。


「ここから西のアルシャ皇国側、この二箇所の街に、僕の知り合いがいる……彼女達なら十分な戦力としてーー」


「「彼女、達?」」


「あっ!?」


 しまった、と僕はヴァルスとルーナ二人に見つめられて、目線を逸らした。


「あの、もしかしなくてもですが、その彼女達も……」


「関係、持ってるのね?」


 ジトリと、目線二つが僕を突き刺す。あ、いよいよ呆れて解散してくれるかなと、僕は妥当句を言ってみる事にした。


「そうだ、旅路で抱いた女性だよ、幻滅したろ?ほら、最低な僕はさっさと放っておいて新しい男を探しにーー」


「「まぁ、別に気にしないけど」」


「ちょっとは気にしなよ!メンタルすげーな二人とも!?」


「えー、だって……」


「もう、リデさん以外となんて考えられないし……」


 二人して、もじついて僕を見つめてきた、その愛が、すんごく痛い。


「それで、その人たちって、どんな子なの?」


「一体、どんな人なのか、教えてくださいなリデさん?」


 で、どんな人なのかと尋ねられる。そして僕は、そのうちの『一人』があまりにも駄目なのを、今更になって思い出した、もう、仕方ない、どうにでもなれと、僕は助けてくれるであろう『彼女達』の人物像を話す。


 一人目と二人目を聞いて、三人目を話した刹那、ヴァルスとルーナは、二人して驚愕して、ゆっくり聞き直す。


「え、あの……マジなのリデ、一人目と二人目が?魔法使いで踊り子の姉妹で?」


「三人目がアルシャ皇国の……第四皇女?リデさん、皇族と関係持ったんですか?」


「…………はい」


 ヴァルスとルーナは、二人して目を合わせ、ゆっくりと深呼吸してから、僕に言うのだった。


「「あなた、凄いわ」」


「はぁあぁああほんと、やっちまったんだよなぁああああもぉおおお」


 そう、お互い一夜でも、これはやばい、断頭台行きだから忘れたかったのだ。しかし、頼れるとしたら彼女らしか居なかったのだ。


ここから先はR-18指定、良い子は見ちゃ駄目。


過去、オークとの戦争を前にルーナと交わったリデの話。↓


https://novel18.syosetu.com/n5873gt/


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