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思い返せば本当、エルフ狙う奴多いなぁ!

「いや何事ぉ!?二ヶ月で何があったの!!僕達あんなに頑張ったのになんで焼け野原になってんのさ!誰か魔法間違えてぶっ放したかこれ!?」


 あののどかなエルフの集落が、まるで強大な火炎魔法で灰塵に帰したかの様な有様に僕は叫んだ、ヴァルスも僕の叫び様にびっくりしたのか、胸と背中に手を当てて撫で始めた。


「落ち着いて、落ち着いてリデ、深呼吸よ……」


 ヴァルスの声を聞いて僕はそれに従う、一回吸って、ゆっくり吐く、もう一度吸って、また吐いて、おまけにも一つ吸って、ゆっくり吐いた。そして……膝から崩れ落ちた。


「こんな理不尽、あってたまるか……エルフ何か悪いことしたかよ、なぁ……なんで、なんでエルフって狙われるんだ、普通に暮らしてただけじゃないか!」


 僕は地面に両手をついて右拳を握りしめ、地面を殴った。二ヶ月前、野蛮かつ非道なるオークに必死で立ち向かって、手に入れたはずの平穏が消え去っていたのだから。この二ヶ月何の報せも情報も出回っていなかった。


 誰だ誰がやった、いや、もしかして火事でも起こって避難しているのか?それならまだいい、そうであってくれと、僕は立ち上がり、廃墟と化したリースタットを歩いた。


 現場検証は必須だ、まずそこから、いかにして集落が壊滅したかを検証せねばならない。


「ヴァルス……何かあったら教えてほしい」


「分かったわならまず……魔法の類を行使した形跡や気配は無いわ」


 ヴァルスに気付いた事を尋ねれば、早速魔法の行使は無いと教えてくれた。これにより魔法の暴走による出火だとか、魔法の炎による放火は項目から消す事ができた。


 つまりは自然火であるわけだ。廃棄を探し、火種になる様な物が残ってないかを探し始める。しかし、これも見当たらない。


 燃え尽きたのなら仕方ない……。では、もしもエルフが襲撃されるとして、誰が行ったかと仮定し、その正体の心当たりを僕は頭の中から引っ張りだした。


 候補1.オークの再出現。あの日のオークの生き残りが虎視眈々と狙っていたか?しかし考えられない、残党狩りまで行ったのだ、二ヶ月で集落を襲撃する程の戦力は確保できない。


 候補2.反亜人思想団体。正確には亜人を魔族の一つとして、異端とみる宗教組織がある、聖教会分派の過激派だ……が、この周辺に彼奴等のコミュニティは無い。むしろ聖都周辺やら、都市部に多いし、わざわざ出向いてくるにしては割に合わない。


 候補3.違法奴隷商人。こいつが一番あり得る、私財を有し、私兵すら囲む商人キャラバンが、商品として亜人を狩り、奴隷市場に流す輩は多い。


 候補4.貴族。こいつもやりかねない、と言うより、その嗜好を満たす為違法奴隷市場使う奴がいるのが真実だ、直に狩りに行くよりか奴隷商人と繋がった輩も居る。


 出てくる候補の多さに、僕はガクリとまた地面に崩れ落ちた。


「どうしたの、また何かあった?」


「エルフ狙う輩、多すぎるなぁって……まぁ男女共に狙われて仕方なしなんだけどね」


「人間の業って、深いわよね……」


 僕の背中を、ヴァルスがさすりながらそう言った。本当、エルフに生まれたら誘拐率が凄まじいなと僕はまた立ち上がり、頷いた。そして僕も一つばかり、見つけた事があった。


「骨一つ、残ってない……避難したのか、1人残らず捕まったのか」


 そう、全くもって遺体の形跡が無い。火災から逃げ遅れたならば骨くらい残る筈、それが一切無いのだ。全員しっかり避難したか、捕まったのか……。忽然と姿を消した様にしか見えない。


「この周囲で、エルフの避難を受け入れる町……あっただろうか」


 また記憶を掘り返しながら、僕はサイドパックを開けて、色々記載した地図は、勇者ジンに渡していた、それならその少しの情報も書き込んでいたが、真っ新な地図を前に僕は唸る。


「地図なんて広げて、何かわかったの?」


「この辺にどんな輩が居たか思い出してる」


「どんな輩、とは?」


「調べ上げて刻み込んだ地図を持っていたんだよ、勇者に渡したままでさ、信用できる貴族か、がめつい商人が店開いてたりとか……色々書いててさ、それを思い出して……あ」


 地図を眺めて頭の中にある記憶と照らし合わせ、僕は一つ思い出した。


「確か……この領地の貴族子息と商会の金持ちの跡継ぎが、一度平民の女を幾人も攫って、裁判にかけられた事があったな……」


 


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