8話
王女は牢屋に入れられた。
「金を受け取る前でも後でもやる事は一緒だよな」
そう言って盗賊は服を脱ぎ出した。
俺はその隙に盗賊の服から眠り草を取り、素早く盗賊に眠り草を嗅がせた。
「なんだか急に眠気が・・・」
盗賊が眠り始め俺は王女を連れ出そうと思ったが、1つ気になる事があったので確かめる事にした。
「眠っている王女をおんぶしている時、人にはどう見えるのだろうか」
王女を牢屋の外に連れ出し、盗賊を牢屋に入れ鍵をしめた状態で俺は盗賊を叩き起こした。
「あれっ!俺はなんで・・・ヤバイ!!王女がいなくなってる。しかも俺牢屋に閉じ込められてるぞ!!」
盗賊は目の前に王女がいる事に気付いていなかった。
「上手くいったみたいだな。このまま王女を救出してギルドに届けよう!」
こうして俺は『迷宮ダンジョン』から抜け出し、元いた街に戻りギルドにたどり着いた。
「ギルドにたどり着いたはいいけど、なんて説明したらいいんだろうか」
俺は困り果てた上にある事を思いついた。
俺はギルドのカウンターの上に王女を乗せ、そのまま手を離した。
突然目の前に現れた王女に受付嬢はびっくりして声を出せないでいた。
「ドッキリ大成功だな」
俺は何も言わず立ち去る事にした。
〜〜〜
実は王女は街に入っていたあたりから目を覚ましていたが、街を歩いている人が誰も王女とトリスの存在に気付いていない事を不思議に感じながら、王女は眠っていたふりをしていた。
王女には必死になって自分の事を運んでいたトリスの姿が見えていたのだった。