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6話

新たなスキルに目覚めた俺はテントを収納して街を出る準備していた。

「このスキルがあれば今あるお金は全部食料に変えても大丈夫そうだな。まずは隣にある王都に行くのでもいいかもしれないな」

俺はこうして強化された忍び足スキルを使いながら王都に向かい始めた。

俺と同じように上位ランクの冒険者達も王都の方面に向かって歩いている。

王都に行く途中にある『帰らずの森』の中にある『迷宮ダンジョン』に世界最大の盗賊団『月影の白兎』のアジトがあるからだ。

普通の忍び足スキルは魔力を使わない限り魔物に襲われる事はない。その性質を利用して盗賊達は魔力強制発動のトラップを森にもダンジョンにもいたるところに仕掛けてあり、魔物達との強制戦闘を避けられないようにしていた。

「帰らずの森には高値で売れる素材もあるんだけど、冒険者の相手をしないといけない盗賊達も忙しい今なら採取していけるな」

こうして俺も『帰らずの森』に入っていった。

森で取れる『松の果実』は【防御】スキルの《身体強化》のスキル付与の魔道具を作る際に使われる素材でもあり、１つ1万リンで売れる素材だ。

リンとはこの世界でのお金の単位で、だいたい1回の食事にかかるお金が1000リンで、宿屋に1泊する値段が1万リンだから結構おいしい素材だ。

俺は『松の果実』を集めていたら、結構奥まで入り込んでいたみたいで『迷宮ダンジョン』の入り口あたりまで来ていた。

「久しぶりにこの場所に来てしまったな」

昔盗賊達に捕まった事があり、目隠しをした状態だったが入った事があった。

まだ冒険者達は来ていない感じだったので、強化された忍び足スキルなら見つかる事もないと思い俺は様子見がてら入る事にした。