57話
「ここが死の山かぁ、思ってた以上に木がたくさんあるな」
そこは見渡す限り森が広がっていた。
「ここはまだ入り口だよ。ここからしばらく山を登っていくと景色はいっきに変わって岩ばかりになっていくよ。ここは不死鳥の住む死の山、恐れの山とも呼ばれている死者の集う場所、何が飛び出してくるかわからないから道中も気をつけて行かないといけないからね」
こうして俺はテウスと一緒に山を登り始めた。道中もいろいろな獣とも遭遇したが忍び足スキルで気付かれる事なく進む事が出来た。
「一気にひらけた場所になってきたな。で先にあるのは湖か?」
「あれはハートの形をした生命の湖だよ。あそこは生と死が入り混じる湖。もうすぐ五色鳥のいる場所だよ」
「急に雰囲気が変わってきたからなんとなくはそうかなって思ってたよ」
「この先からは気を抜けばすぐに無痛死を味わう事になるからね」
「わかった。気をつけるよ、っていうかあそこに見えるのは人か?」
少し先には何人もの人がそこら辺をウロウロとさまよっていた。
「あれは死者が具現化された存在だよ。ここで死んだ者は生と死を超越した存在になり、『霊者』と呼ばれている。『霊者』は何かするわけではないから安心して大丈夫だよ」
「わかった」
それからしばらく歩いて行くとゴツゴツとした岩が増えて歩きにくくなってきた。
「何か石を積み上げて山になったのが目につくようになってきたな」
「あれは『霊者』が積み上げた石だから触れない方がいいからね。むやみに触ると闇に引き込まれるよ」
「わかった。気をつける」
「もうそろそろだよ。トリス兄ちゃん、お供鳥達は任せたよ。僕は五色鳥の調査をするから」
「わかった。テウスも気をつけろよ」
少し歩くと目の前に大きな青色の木が見えてきた。
「あれが王のリンゴの木、鳥の王にして不死鳥『五色鳥』が住む場所だよ。さっそく仕掛けるけど、準備はいい?」
「いつでも大丈夫だ!」
「わかった。風魔法パーフェクトストーム」
激しい風が吹き荒れ、金色の大きな鳥と赤白黒の鳥が姿を現した。
「クェーー!!」
こうして五色鳥達との戦いの火蓋が切って落とされた。




