50話
街に戻った時には夕方になっていて、俺は道具屋のジョナンのところに来ていた。
「いらっしゃいませ、ってトリスさんじゃないですか。今日はどうしました?」
「これを見てもらいたくて来たよ」
俺は『サイカのリンゴポーション』を取り出した。
「あれ!これは父が作った物ではないですね。もしかしてトリスさんが作ったんですか!?」
「あぁ、キーアイテムは『ムーンハニー』だろ」
「たしかにそうですけど、最近は『ムーンハニー』が全然採取できなくなっていたんですよ!だいぶ『ムーンハニー』の在庫がなくなってきていたから、父とどうするか悩んでいたんですよ」
「おそらくその原因はレッドアーマーだ。今ジョーさんはどちらに?」
「レッドアーマーがなんで!父は今家にいます。もう店を閉めますので少しお待ち下さい」
「わかった」
こうして俺とジョナンはジョーの元に向かった。
「ただいま。お父さん、トリスさんが話あるみたい」
「トリスさん、お話とは?」
「青き森でレッドアーマーに会いました。それでレッドアーマーはムーンベアを殺して『ムーンハニー』を奪っていました。何か思いあたる事ありますか?」
「いくらレッドアーマーが特殊個体とはいえ同じ種を殺して『ムーンハニー』を奪うというのは、普通では考えれない事だな。最近の魔物達の異常繁殖も何か関係あるのだろうか」
「岩イノシシや五色鳥も暴走してるみたいですし、北の王国では何か異変が起きているのではないでしょうか?」
「五色鳥のいる『死の山」のふもとにSランクのテウス様が修行していると聞きます。そのお方は魔法のスペシャリストなので何かわかる事もあると思います。もしよければそちらの方に足を運んでみてはいかがでしょうか?」
「マリアの弟のテウスか。久しぶりに名前を聞いたな!わかった。明日『死の山』に向かってみるよ」
この後また3人で『青の錬金術師』の話で盛り上がり、次の日を迎えた。




