38話
次の日、俺は再び龍の洞窟の前まで来ていた。
「昨日は風を使ってブルードラゴンをおびき寄せてしまった。かといって中の様子を知らないまま行くのはさすがに危険すぎる。どうしたらいいかな」
俺はしばらく洞窟の前で考えこんでいた。
「そういえば昨日はギルドで風魔法の言霊を飛ばした。では逆に言霊を集めるというのはできないだろうか?」
俺はしばらく風を使っていろいろ試していた。
「上手くいかないな」
またしばらく考えこんでいた。
「風は飛ばす力。土は集める力。テンブ老師の教えだ!」
俺は土の力でいろいろ試してみた。
「これなら聞こえるぞ。上手くいったぞ!」
俺は洞窟の前で石を落として『集音』してみた。
「音の反響からしてやはり結構な迷路になっているな。とりあえず最奥を目指して行ってみるか」
〜〜〜
こうして俺は忍び足スキルを使い、洞窟の最奥付近まで来ていた。
「この先は洞窟の雰囲気がガラッと変わるな。慎重に行かないといけないな。この先からは特に魔力を含んだドラゴンブルーの水が流れているな」
先に進むと大きな空間になっているのが見えてきた。
「この大きな空間の手前には相当な魔力の結界が張ってあるな」
その時、頭の中に声が響いてきた。
[汝の勇気を示せ]
「勇気を示せとは・・・」
俺はまたしばらく考えこんでいた。
「『青の知恵祭り』、そういえば前に聞いたことがあったな。『赤の生命、青の知恵、白の勇気、黒の愛』、愛と生命の証である子どもは生まれた時、赤黒く生まれる。その事から赤ちゃんと呼ばれる。」
俺は両手に風を集め威圧をかけて圧縮していった。
「勇気を示せか。【攻撃】には勇気が必要。俺に今出来る最大の勇気はこれだ。射殺し、打ち殺し、噛み殺す風の牙『ゴルゴ・ダ・ファング』」
圧縮された風は具現化し、ドクロの牙が結界に襲いかかる。
パリンっ!
結界を打ち破った音がした。
「なんとか先に進む事ができたな」
その大きな空間には大きな泉が湧き出ていた。
「ここの水は『龍泉水』として採取出来るんだな。これも聞いた事がないから新素材だろう」
俺は『龍泉水』を汲んで収納した。
「まだこの先もあるな。だがまた結界があるな」
その時また頭の中に声が響いてきた。
[汝の勇気はその程度か?もっと勇気を見せてみろ]
俺は両手に風を集め威圧をかけて圧縮していった。
「射殺し、打ち殺し、噛み殺す風の牙『ゴルゴ・ダ・ファング』」
圧縮された風は具現化し、ドクロの牙が結界に襲いかかる。
しかし攻撃は吸収されてしまった。
「ダメだったか。今の俺にはこれが精一杯の攻撃だ。諦めるのはまだ早いな。ドフワーさんに荷物を届けるまでにはあと2か月はあるから、ここで修行だな。幸いにも『龍泉水』で魔力は回復できるからここはいい修行場だ!」
こうして俺の修行が始まった。




