21話
修行60日目
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俺は右手に具現化した風の刃を持ち、左手に具現化した土の盾を持ってアルファと戦っていた。
俺の風の刃はアルファの薄皮を切り裂くが、ダメージを与える前に避けられる。アルファの牙は土の盾で完全に防ぐといった終わらぬ戦いの日々を繰り返していた。
「アルファの尽きる事のない魔力を相手にするのは大変だよ」
「こんなに楽しい戦いをできる日々は今までに経験できない事だ。トリスには感謝してもしきれない」
「こちらこそ今までつらい日々を送ってきてたが、今はとても充実した日々を過ごす事ができて感謝しているよ」
「お礼としてそろそろ本気を出してやろう」
その瞬間、アルファは光の速さで俺の土の盾を吹き飛ばした。
「この攻撃に対応出来なければ、上の世界では戦っていけぬからな。我は光の速さで動けるが、それでもドジでノロマな亀より速く動く事が出来ない。それほどゲンブの出す威圧は恐ろしいものだ。上には上がいる事を思い知らせられる」
「じゃあそのゲンブと互角の戦いをしたテンブ老師はかなりの強者だったんだな」
「爺ちゃんはああ見えても四獣の1人だからな。かなりの強さだよ」
「四獣って神話の話だと思ってたが、現実に存在してたんだな」
「はるか昔の話だ。でもそのはるか昔に秩序を乱した者がいて今があるみたいだ。爺ちゃんはいつもワシの守護する場所は南ではなく西じゃ。って言ってたよ」
「そんな歴史があったなんて初めて知ったよ」
「ニンゲンの寿命は短いから昔あった出来事が正確に伝わらないかもな。そろそろまた戦いを始めるぞ。盾を持って構えろ」
こうして日々、アルファと戦い続けていた。




