2話
時は流れて5年後
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俺の名前はトリス。
誰でも持っているはずのスキルを持っていなかったために、普通の人なら3日で到達するレベル5にようやくなったところだ。
「おつかいクエストのみでも5年も続ければレベル5にはなれるんだな」俺は乾いた笑いをしながらスキルを確認した。
レベルが上がったため、スキルレベルを5上げる事ができます。
【運び屋】スキル→《運び屋》スキルレベル20
レベル1→アイテム収納
レベル5→忍び足
以降獲得スキルなし
俺は《運び屋》スキルをレベル25まで上げた。
【運び屋】スキル→《運び屋》スキルレベル25
俺には他に上げるスキルがないから以降獲得スキルなしでも《運び屋》スキルを上げるだけだった。
「せめて【観察眼】だけでもあれば他にも色々出来る事があるのに、なんで俺には【運び屋】しかないんだよ」
俺は泣きながら地面を叩いていた。
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【運び屋】スキルには《運び屋》スキルしか存在しない
【観察眼】スキルも【運び屋】と同じく《観察眼》しか存在していないスキル
【観察眼】スキル→《観察眼》
レベル1→アイテム鑑定
レベル5→開眼
レベル10→心眼
以降獲得スキルなし
この世界ではレベル1で《運び屋》スキルを5まで上げてアイテム収納と忍び足を覚えて、おつかいクエストでレベル2まで上げる。レベル2で《観察眼》スキルのアイテム鑑定と開眼まで覚えて薬草の採取クエストをこなしレベル3まで上げる。レベル3で【攻撃】スキルのどれか取得している《斬撃》や《打撃》スキルを5まで上げてゴブリン退治のクエストでレベル5になる。というのが普通の冒険者のやり方で『始まりの3日』と言われているものだ。
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俺は今でもお世話になっている道具屋に帰宅した。
「ただいま帰りました」
「おかえりトリス」
店に立っていた幼馴染マリアの父ゼウスが迎え入れてくれた。
「今日ようやくレベル5になりました」
「おめでとうトリス。明日はテウスの成人の儀式もあるから盛大にお祝いしなくちゃいけないなぁ」
店の奥からマリアの弟テウスが顔を覗かせた。
「トリス兄ちゃんおめでとう。僕は将来この店を継ぎたいから、《職人》スキルだけでもあればいいんだけどなぁ」
【特殊】スキル→《職人》スキル
自身が所持しているスキルをアイテムに付与する事ができる。ただし付与されるスキルレベルは10分の1になる。
「テウスに神の御加護がありますように」
俺は自分の部屋に戻った。
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次の日の朝になった。