15話
一瞬の静寂のあと、先に親父さんが口を開いた。
「まさか7日ネズミまで持ってきてるとは思いもしなかったぞ。お前さんは一体何をしてきた?」
俺はありのままを話した。死の台地で起こった事、ニンゲンに目を奪われた白猫の事。
「それでは20年前の7日ネズミの襲来はニンゲンがきっかけで起こった事という事ですか」
「そうみたいですね。俺は魔物を殺した事がないから襲われず助かっただけです。魔風草と7日ネズミは観察眼の指輪と交換してもらっただけです」
「20年前の7日ネズミの襲来に関しては再調査が必要みたいですね。とりあえずこの話はここまでにしておきましょう。改めまして、トリス様これから商人として頑張ってください」
「ハイ、頑張ります」
「ところでお前さんは解体した7日ネズミはどうするつもりじゃ?」
「もしよろしければ親父さん使ってください。今の俺には持て余す素材です」
「何もかもワシに任せるってお前さんもなかなかやり手だな。ギルド長よ、追加で100億リンをトリス名義で寄付しておいてくれ」
「かしこまりました」
「トリス、観察眼は指輪に付与しておけばいいか?」
「1つは指輪で、残りの2つは手のひらサイズのキャッツアイという宝石にお願いします」
「猫の目にキャッツアイを埋め込むってシャレの効いたやつじゃな。ハッハッハッ!」
こうして無事に俺は商人になり、新たな一歩を踏み出した。




