第3話
ゆっくり投稿していきたいと思います。気長にお待ちください。
ぐうぅ~~。
「だらしないぞシド。朝礼中だぞ。」
「いやいや、生理的に正しい反応だと思うよ!そもそもルイスがもうちょっと早く起こしてくれたら…」
「はい、人のせいにしない。ほらダンカン中将のお話しがはじまるぞ。」
シドとルイスは只今朝礼の真っ最中である。ルイーストは小さな国のため人材も少ない。それ故士官学校の教官には数十人の中尉以上が、それを束ねる責任者には中将が就いている。それがダンカン中将で、その中将からのあいさつが始まった。
「新人の皆さん、おはようございます。皆さんも知っているでしょうが、先日敵の天使によって部隊が壊滅に追いやられました。そんな奴らを懲らしめるためにも日々の訓練を一生懸命がんばり、一日も早く立派な軍人になってくださいね。」
「「イエッサッ!!!」」
スピーチをしているのは見た目どこからどう見てもはマッチョな黒人男性。そう!ダンカン中将はオネェ系なのである。
「相変わらず…キモイ。重大な事件もサラッと言って良いのかな?」
吐き気を抑えながら珍しく他人につっこむシド。
「しっ!そんな事を言うなバカ!!見た目がどうであれ、中将は超エリートなんだぞ。下手なことを言ったらまた可愛がられるぞ(笑)」
「…うぅ~」
入隊以来シドはダンカン中将のお気に入りなのである。普段から何も考えていなさそうなシドでもダンカン中将絡みとなると何も言えなくなってしまうのであった。
「そんな事より、シドはどこの部隊に所属したいんだ?」
ルイーストでは兵士の才能を最大限に活用するため一人一人の士官兵たちが所属したい部隊に志願するのである。もちろん軍人としての最低限の知識、訓練は全員義務とされているが、それに加え自身が志願した部隊の特性を学ぶことができるシステムとなっている。部隊は天使を操る天使部隊、生身の戦闘に特化した歩兵部隊、怪我人を癒す衛生部隊、潜入・スパイ活動が専門の工作員部隊、武器の開発に携わる科学部隊、的確な作戦を練る戦略部隊などが存在する。今日が部隊に志願する日でもあった。
「僕はね、おいしいケーキを作るパティシエになりたいな!でねでね、最終的には自分のお店を持って…」
「調理部隊か?でもケーキは作らんし、それで世界は救えないぞ。」
「ルイス知らないの?笑顔は幸せを運んでくれるんだよ。」
「あほかっ。おまえなんで軍人になったんだよ。」
「そりゃ母さんの勧めかな。僕のうちは父さんがいないんだ。母さんは教えてくれないんだけどたぶん戦争で死んだと思うんだよね。それで母さんは女手ひとつで僕を育ててくれたんだ。やっぱり親の希望には応えたいじゃん。」
おおっ!シドから真面目なセリフが出てきました。でもいくつか間違っているのである。実はシドの母親は熱狂的なフォックス総司令官のファンなのである。それが原因で父親と離婚し、不純な理由で自分が軍人となったのである。この事についてシドはたぶん一生知ることは無いであろう。うまく騙せたものである…残念。
「そうだっかのか…辛いことを思い出させて悪かったな。」
「全然気にしてないから大丈夫だよ~過去にはとらわれない主義なんだ!」
少しは気にした方が良いと思うが…。
「あっ!そろそろ志願が始まるみたいだよ!」
シドがルイスにそう告げると、教員が志願の説明を始めた。