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異世界無双禁止規定(ステージ オブ グラウンド)『緩』  作者: 浅葱
第1章 次元迷子の少年
3/30

第2話 ~空から落ちて来た少女(?)~

結構改編しています。読み返すと色々表現がおかしい……


──────ここは『亜空間』。現在、気を失っている佐夜が物凄い勢いで回転しながら亜空間内を飛んでいる。むしろ自分の力で移動している訳ではないので、飛ばされていると言った方が正しい。


 ちなみに亜空間内はどういった所なのかというと、宇宙に存在する星々みたいな感じであちらこちらに世界が存在し、海の中みたいに泳ぐ事も出来る。そして何より呼吸をする必要がない事だ。亜空間内に酸素は勿論無く呼吸は出来ないのだが、何故か息をする必要もなく言葉も発せられるし、泳いで移動も出来る。

 つまり簡単に言うと『地上』と『海』と『宇宙』が混じった感じと言えば分かりやすい。なので佐夜は怪我をしつつも何とか死なずに済んでいる。


 そして一時間後、佐夜が生まれた世界とは全く違う異世界が、気を失っている佐夜の進行方向にあり、佐夜はその世界に突っ込む形で突入していった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ──────一方、ここは【レニアナ】という多数ある幻想界の一つで、その中には大小含めて5つの国があるが東の方に【セルニア】という王国がある。


 その王国から少し離れた所に【アルケシス】という小さな学び舎があった。


 その学び舎はエルフの夫婦が経営しており、6人の若い男女(14~17歳くらい)が通っている。


「997……998……999………1000!」

 現在の時刻は夜の9時。学び舎の道場(体育館みたいな物)の外で【イング】といエルフの少年が木刀を振って鍛錬していた。


「イング~、ご飯よ~?」

「ん? ああ、分かった母さん。すぐ行くよ」

 イングを探しに来たエルフの女性はイングの母親で【アイナ】という天然おっとり系の女性だ。かなり天然で、イングや同じ学び舎で学ぶ学友、そして父親の【リンド】はアイナの天然さにかなりやきもきしている。

 ちなみにどのくらいの天然かというと詐欺師を天然で困惑させ、逆に得をするくらい強い。



 ヒュゥゥ──────────────────



「んあ?」

「あら?」

 呼びに来た母親と一緒に帰宅しようと歩き出したその時、空から大砲の様な音がして2人共空を見上げる。


 何事かと謎の飛来音にイングとアイナは空を見渡す。夜なので一見何も見えない様に見えるが、

「は? 何だアレ?」

「人……かしら?」

 イングとアイナが目を凝らして見たものは夜空から落ちてくる『人間』だった。どうやら森の方に落ちてくるらしい。

「って、呑気に見てる状況じゃなかった。母さん、俺ちょっと行ってくる!」

「え? ちょっとイング?」

 イングは落ちて来る人間の状況に気付き、母親であるアイナの静止を聞かず急いで落下地点へ向かった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ドォ─────ンッ!!!


「う……うう…………」

 物質界から【レニアナ】に飛んできた(落ちて来た)佐夜は気を失ったまま『鎮守の森』に落ちて来た。

 佐夜の身体は『鎮守の森』の木々の枝がクッションと化した為、何とか衝撃を軽減させる事に成功したが、普通の高校生がそんなに身体を鍛えている訳もなく衝突時のダメージで瀕死の大怪我を被っていたが、何とか即死は免れていた。

 もし意識があった状態なら飛ばされている状況でショック死していたかもしれない。


「お、おい大丈夫か!?」

「××××、××××? ×××××××?」 

 衝突時の激痛で少し意識が戻った佐夜は何者かに肩を揺さぶられるが、大怪我の為、指の一本も動かせず、相手が何を言っているのか分からないまま再び気を失った。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「おいお前、大丈夫か? 一体何があった?」

 イングが瀕死の少女(?)の肩を優しく揺さぶり(あまり強く揺さぶると危険な為)何があったのかを聞こうとしたが、少女(?)は何か聞いた事ない言葉をボソボソと口にして再び気を失ってしまった。


「はぁ、しょうがないか…………」

 イングは溜息を吐いて気を失っている少女(?)を自分の背中にもたれさせ、そのままおんぶの形で背負い、急いで少女を学び舎(自宅)へ連れ帰った。連れ帰る際、少女(?)から呻き声が聞こえるが、痛いのは我慢してもらうしかない。イングは出来るだけ揺らさないように急いで帰った。


 その後、少女(?)を連れ帰ったイングを両親が見て、やれ彼女だのお祝いだの騒がれたが、イングが大怪我をしている少女を指し、慌てた父親の【リンド】が急遽客室の布団の用意をし、ハイウィザードの称号を持つ母親のアイナによる回復魔法や着替えによって少女(?)の容体は安定した。

 その後両親に、少女(?)との関係を聞かれたイングは、少女が鎮守の森に落ちて来て、大怪我をしてたので救助した事を話した。母親のアイナもこの少女が先ほどの飛行物だという事が分かっているので話は早かった。

 ちなみにイングはその後、遅めの風呂や夕飯を取るが、その時現れた父親のリンドに「救助したあの少女って好みか?」とか聞かれたがそれどころじゃないだろとツッコんだ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 そして佐夜少女(笑)が救助されて一週間、未だ目が覚める気配はない。


 それもそのはず。なんせ全身打撲に骨折もほぼ全ヵ所、身体のあちこちに出来た裂傷と大量出血を合わせた超重症患者だったからだ。

 むしろ生きている事が不思議でならないが、一命を取り留めたのはイングの母、アイナの回復魔法だ。これにより骨折や裂傷等は治した。しかし、残った打撲ダメージと失った血液に関してはその後、容体を見てもらった医者と相談したがどの血液型とも型が合わなかった為、自然に回復するのを待つしかない。


「おーい。起きて……は、いないか」

 佐夜の眠る部屋に一応ノックして入るイング。一向に起きる気配がない眠り姫(笑)に肩を竦めながら部屋に入り、佐夜の顔色を窺う。うん。昨日よりは大分血の気が戻ったようで青白い顔から赤みが増してきている。もう少しすれば目を覚ますかもしれない。


(しかしこの子、よく見れば見るほど可愛い顔してるなー)

 っとイングが佐夜の顔をジロジロ見ていると、ふと窓から複数の気配を感じた。


「………何、やってんの、お前等?」

「「「「「!!?」」」」」

 窓からイングと佐夜を覗き込んでいたのは、学び舎【アルケシス】に通うイングを除いた5人で、イングが声を掛けると皆ビクッてなった。


「い、いやー。イングが最近拾ってきた女の子の世話を焼いてるって師匠リンドに聞いたんで────」

「こうして皆でどんな子か見に来た」

 イングと同い年の人間の男子【タック】が頬をかきながら聞いてきて、途中で言葉を引き継いだのが一つ年上の猫の女亜人【ニケ】だ。


「イングがその子の事が気になりすぎて最近上の空だから皆、気にしてる」

「「で? どんな子? 顔、見ていい?」」

 アイナの弟子である同い年の【マナ】が無表情でイングを心配し、一つ年下でリスの亜人で双子の女の子の【ノン】【ロロ】がイングに許可を求めてつつも、既に部屋の中に侵入しているのはご愛敬。怒涛の攻めにイングは頬を引きつかせるしかない。


「へえ? 結構美人じゃないの。やるわねイング」

「いや、何親指立ててんの!?まだ何もやってねーよ!?」

「……『まだ』?」

 ニケのサムズアップにイングがツッコミを入れると、マナがジト目で聞く。


「「ニヤニヤニヤ」」

 ノンとロロの双子がイングを見てニヤニヤしている。つか言ってる。


「イング。まだって事は、いつかは、やっちまう……って、事なのかぁ!?」

「騒ぐなアホ。血を流すな。布団が汚れる」

 何の妄想をしたのかタックが鼻血・血涙を流しながら言う。変態め。


「…………(じー)」

「……マナさん。無言で見つめるのは止めてもらえないだろうか?」 

「ぷいっ」

「あははは。イングも大変だねぇ?」

 イングの苦笑いにマナがぷいってしてニケが豪快に笑う。


「はぁ。お前らなぁ~」

「「「「「あはははは(笑)」」」」」

 イングが肩を落とし、トホホな感じになり、皆が笑う。


 すると────────────────


「う…ううん………」


「「「「「「っ!!?」」」」」」

 余程イング達が騒がしかったのか、眠り姫が寝返りをうった。皆、ビクッと佐夜の方を見る。


「「「「「「………………はぁ~~」」」」」」

 起こしちゃったのかと思った6人は再び眠りに付いた佐夜に安堵する。皆、この子(佐夜)が大怪我をしていた事は知っているので無理はさせたくないのだ。

 その後、イングは「起きたら食べるかもしれない」からとパンやスープなどを寝ている佐夜の枕元に置き、もし騒いで起こしたりしたら先生リンドとアイナに怒られるのは目に見えているので6人は部屋を後にした。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・


「……………………」

 イング達が去った後、ベットで寝返っていた佐夜が目を開ける。どうやらとっくに起きていた様だが、その表情は冴えない。それもその筈。何故なら、


「な、何語話してるのか全、然、分からねぇー」

 っと、小声でツッコんでいた。


 ごく当たり前の話だが、ここは異世界(幻想界)であり日本ではないので、イング達も日本語で話してはいないし、目が覚めたばかりの佐夜も相手(イング達)に声を掛ける事が出来なかったのだ。

 とはいえ、お腹が鳴っているのも事実。痛みが残る身体を起こし、パンを一つ千切って食べ、スープを一口食べた所で、

「美味い……………」

 素朴ながらも美味しい物を食べた所為か、ホロリと涙を一滴流し感動する。そして緊張が解れたのか袖で涙を拭き、用意された朝食を少しづつ食べ続けた。



まだまだ行くぜぇ。ふっふぅー

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