プロローグ1 ~異世界への侵略は禁止事項~
現在元作品から色々改編して再投稿中です。
ドドドドドドドド───────────────────
ここはとある異世界の人間とエルフや亜人達が住む、剣と魔法が基盤となる【レニアナ】という世界の、西部の方にある【セウレン帝都】。
ダラララララララララ───────────────────
その世界に今、この世界には似つかわしくない………というか存在しない筈の『現代兵器』で帝都を蹂躙している者達がいた。
ドォーン、ドォーン! ドガーン!!
セウレン帝都の街を蹂躙している謎の集団は皆、迷彩服を着たこの世界の者ではなく別の世界からやってきた『軍人』で、勿論『重火器』や『戦車』などもこの世界にはない。
また、当たり前だが一応、帝都にも騎士団や魔法使い達が存在し応戦してはいるが、騎士達の持つ盾や魔法使いのシールド(防御魔法)程度では流石に回転する銃弾や戦車からの砲撃からはまともに防ぐことが出来ない上、こちらからも距離が遠すぎて剣や弓では攻撃が届かず、魔法に関しては悲しいことにそこまで魔法技術が発展していないので攻撃魔法も防御魔法も全く通用しない。
まさに一方的な蹂躙劇で帝都の街からは悲鳴が止まず、そしてその謎の集団『ゼリア軍』達は帝都の帝宮内にある謁見の間にて皇帝陛下や側近達数名を拘束し、ゼリア軍の大将がセウレン帝国の陛下に銃を向けていて、その大将の後方では兵士達は後方でマシンガンを構えているので謁見の間の外で待機している騎士達や魔法使い達も迂闊に突入が出来ないでいる。
下手に凸すれば陛下や王族・貴族達に危害が出る可能性があるからだ。
「き、貴殿らは一体何者なのだ? 何の目的で帝都をこんな目に……」
で、この世界にはない兵器で帝都を制圧した大将に銃を突き付けられながらも陛下は大将に問う。
「我々はこの世界の者ではない。世界と世界を繋ぐ『ゲート』を通ってやってきた別の世界の人間だ」
「別の世界の……人間?」
そして大将は懐から取り出した煙草に火を付けて吸いながら言う。
「そして目的はこの帝都にある『オーパーツ』と『地下資源』だ」
オーパーツ───その世界の古代文明で作られ、現在では解析不能とされている、失われた技術の遺産(諸説あり)
地下資源───主に地中深くに埋まっている化石燃料、鉄などの金属、金などの希少金属、希土類金属、ウランなどの核燃料。
『オーパーツ』という単語に陛下の顔は青ざめ、側近達は『地下資源』という単語に皆『?』マークを浮かべている。
実は帝都に攻め込む前に調査を行った結果、相当な量の資源が広範囲に埋まっている事がわかっているが、こんな文明遅れの連中に分かるはずないかと大将は思わずにやけ顔になる。
一方『オーパーツ』の存在を知られた陛下が焦り顔になる。
「ち、ちかしげん……と言うのが何なのかは知らんが、あれだけは……オーパーツだけは絶対渡さんぞ!」
「……ま、別に大人しく渡してくれなくても………貴様を殺して探しゃ良いだけの話だ」
大将はにやけ顔から一転。煙草を捨てて視線を陛下に向け、向けていた銃の引き金をに指を掛けると陛下や側近達に緊張が走る。
その瞬間────────
バチィッ!
「がっ!? な、何だ!? 誰の仕業だ!?」
手に電撃が走り、思わず銃を落とす大将。すかさずもう片方の手で銃を拾いつつ周りを見るが大佐の部下達も陛下や王族達、その側近達も『自分達じゃないよ?』と首を振っていた。
「ん?」
「あ、見つかった」
その一人がふと上を見上げると、謎の少年が天井に逆さまで立っていた。
「「「「「っ!?」」」」」
1人の反応で他の軍人達がマシンガンを上に向けるがそれよりも早く、少年が下に降り立ってその直後、
ピシャ────ン!!
「「「「「あばばばばばばb!!?」」」」」
ドサッ・・・ドサドサッ・・・・・・・
少年が居た天井から『蒼き雷電』が兵士達に降り注ぎ、電撃が止んだ頃には兵士達はもれなく皆、香ばしいガングロアフロになっていた。
「な……電撃だと? 小僧、貴様一体何もにょのあばばばばb!?」
アフロになった兵士達を見て大将も銃を向けるが、それよりも先に少年が大将の側を瞬動で通りすぎ、前口上を言わせず電撃を浴びせて気絶させる。勿論大将もガングロアフロだ。
「はい、終了。終わり終わり」
結局、この世界を侵略しようとしていた『ゼリア軍』はこの少年とその仲間達(外の軍人達を蹴散らしていた)が阻止し、惨事を事前に防いだ。
一応壊れた建物は少年の仲間が【錬成術(応急処置程度の能力しかない)】で簡易修復し、侵略者達は元の世界に送還で叩き返した。ちなみにこの後、ゼリア軍の元いた世界に『次元封鎖』を掛け、二度と異世界侵略出来ないようにする予定だ。
皇帝陛下に色々お礼とか褒美を受け取って欲しいとか言われたりしたが、少年にそんなの必要ないので謹んで断ったが仲間の一人は実に残念そうにしていた。
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この幻想界【レニアナ】での仕事を終えた少年達は現在、世界の外にある亜空間内にある局地型順応船【エルシオン】内で休憩&各地の報告を受けつつ次の報告にあった世界へ向かう準備をしていた。
その最中、結構急いで(本当に急な連絡だったらしい)皇帝陛下達を助けた少年【ヴァン】は、ブリッジの指令席にて黒髪ポニテの男の娘【リオ】に肩を揉まれている。もみもみ。
「ねえ隊長。陛下の褒美くらい受け取ってもよかったんじゃない?」
横から顔を覗かせながら肩を揉むリンの目は¥になっている。守銭奴め。
「いや、あのキラキラした目をした陛下から褒美を受けとったらその後、絶対に質問攻めに合うぞ。ただえさえ今クソ忙しいのにそんな暇はない。リオ、ちょっと強めに頼む」
「あ゛~~」っとリラックスしながらリオに答える。
「………それにしても隊長、最近事件の発生件数が多すぎませんか?もう今月で8件目ですよ?」
言葉使いが丁寧なオペレーター担当。茶髪サイドテールの女性【茨城 透】が溜息を付きながら愚痴る。
「あーそうだな。半年前まではせいぜい『次元迷子』が月一で大体2~3人くらいだったからな。異常つったら異常だよな確かに……って痛たたたた!?リオそこじゃねぇ、どこ揉んでる、そこは首だ!」
リオは溜息をしながらヴァンの首を両手でもみもみしている。
「はぁ~。ホントはリオ、楓姉の所が良かったのに、隊長は良いけど、何で真面目女(透の事)と筋肉ハゲにヨッシーと一緒に仕事しなければならないの? いい加減遊びに行きたい~~~!!」
「ぐえぇぇぇぇぇっ!?」
もみもみから首を絞め始め、前後左右に揺らしながら日頃の不満をぶつけるリオ。肩揉みからの急な首絞め(揺さぶり)にヴァンもすぐに解けない。
「おいそこのオカマ。ヴァンの顔がヤバい色になってるぞ」
「誰がオカマよ! ってあわわわ、隊長ごめん」
「はぁはぁはぁ(手を振り大丈夫だと伝えた)」
「はは、危うく仲間にKILLされるとこだったな隊長(笑)」
コントみたいな会話に一同に笑いが起きる。豪快な言葉で話す褐色ムキムキスキンヘッド男が【アール・ハーマン】。もう一人のサブオペレーターである影の薄い青年が【照井義信(通称ヨッシー)】だ。
「はぁはぁ……うっせ。さて、そろそろ『次元封鎖』を掛けて次に行こうと思うが問題無いか透?」
「いえ、何も問題は無……あら?」
「これは……」
「ん、どうした?」
情報通信士の二人(透と義信)が先ほどまでいた幻想界『レニアナ』をスキャンしたところ何かを発見した。近くの席に座っていたRが勝手に大型モニタに切り替える。
そこには大量のゼリア軍が東のセルニア王国に立ち入ろうとしている場面。
「……………」
「よしよし」
今さっきゼリア軍を強制送還したばかりなのにまた来たのかよ、っと頭を抱えたヴァン。リオにナデナデされる。
「いや、どうやら先ほど送還したゼリア軍とは違う部隊みたいですよ隊長」
「え? そうなん?」
「最初のスキャンでこの東に居るゼリア軍の反応がなかったのはおそらく、あいつ等を送還するのと同時に入れ代わりで転移したっぽい感じだ」
頭を抱えたヴァンだったが、透と義信の冷静な報告に変な声を上げる。
「それともう一つ、ダンジョンの内部から反応が」
「え? それもゼリア軍じゃないの?」
ヴァンの頭をナデナデしていたリオがもう一つの反応を指差す。
「いや、この反応を見る限りどうやらゼリア軍とは違う世界から来た人間だな」
もう一つの反応は王国から少し離れたダンジョンの地下にあった。ちなみに地元世界人を表す色は青色で、ゼリア軍は侵略者を示す赤色。
そしてもう一つの反応は黄色をしていたという事は、明らかにゼリア軍とは違う世界の者を表す。
「どうします隊長?」
「俺がこの黄色の反応の奴の所に行ってもいいが、この大量のゼリア軍も放っておく訳にもいかない。……俺と義信、ハーマンはゼリア軍の鎮圧に行くからリオ、お前はもう一つの所に行って来てくれるか?」
「リオがこの黄色の(反応の)人の所に?」
「ああ、おそらくこの反応の奴は多分『次元迷子』だ。だったらお前1人でも問題無いだろう。さっさと行って保護してきてくれ」
「ん~~~~いいけど隊長。終わったら今度こそ一緒に買い物付き合ってね!」
「あー、そんな約束してたっけ?」
耳を小指でほじくりながらとぼけるヴァン。
「し~て~た~の! いい? 約束だからね!」
と言ってリオは颯爽と転送装置部屋へ走っていった。
「ふふ、懐かれてますねヴァン隊長」
「うん。愛されてるな」
「これが『びーえる』ってやつか」
「お前らな………」
額を押さえるヴァンをニヤニヤした表情で見つめる三人。
「ええい、俺達もさっさと行って終わらせて来るぞ!」
「「はいはい」」
頭が痛い(リオがらみ)のを振り払い、ヴァンとR、義信が再び幻想界【レニアナ】へ潜った。
結構改編する所多いなぁ……