表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/770

6・別人な宰相閣下。

 戦争は終わったらしい。

召喚された勇者が魔王国の兵站ルートを分断して基地を占拠したそうだ。

その上で停戦の申し入れをしたのだと。


負けるかも! な状況から対等な条件での停戦に持ち込んだので

王さまはお喜びだという。


宰相閣下は停戦の使者として魔王国に勇者と共に行かれたらしい。

でも、行方不明だと連絡が来たんだ。

万が一の時の脱出用の転移魔方陣のスクロールが暴走したんだそうだ。

巻き込まれた人達は全員見つかったのに宰相閣下だけ見つからなかった。


まあ、結局勇者とその仲間たちが見つけてくれたんだけどね。


おばあさまはとーっても心配されていた。

なにしろ一緒に転移魔方陣で飛ばされた人がりによってコノ館に落っこちて

来ちゃったんだよ。

屋根裏部屋はメイドなお姉さん達が住んでるんだけどソコの屋根に穴を開けてね。

気の毒にお姉さんは別の部屋に引っ越しするハメになっちゃった。


宰相閣下は執事氏からの連絡でおばあさまが心配で参ってると知って旧都の館まで

おいでになったんだけど……別人かと思ったね。


恰幅かっぷくのイイ人だったんだよ。最初に会った時は。

それがまあ……まるきりの別人になってたんだ。

スクロールで飛ばされた場所が無人島だったそうで……

突然サバイバルしろ! なんて言われたってそう簡単にできるわけが無い。

強制ダイエットな目に遭っちゃったんだね。


でもこういう時は同情めいたコトを言うのは禁物だよね。

彼のプライドに触りかねないから……


どうやらライバル視しているベアーズとかいう大臣の秘書がいろんな騒動の元

だったようで色々とののしりたい気分らしいね。

でも、母君の前では罵るわけにも行かないと我慢してるって感じだったよ。


「母上にはご心配をおかけして申し訳ありません。

オマケにあんな妙な赤ん坊の面倒までお願いしてしまって」


「こんなに急にやせてしまうなんて……どう見ても体に良くないわよねぇ。

宰相なんだから体調は完璧でないとお仕事に差し支えるでしょうに。

お前一人の体ではないのよ。

国のための体でもあるのだから大事にしないと……


あの子は手も掛からないし素直なイイ子でいてくれるから心配しなくていいわ。

結構気を遣ってる雰囲気だけどね」


「停戦になりましたからあの子がご迷惑なら引き取りますが?」


「孫ができたみたいだからココに置いてくれるほうが楽しいわ。

お前も庶子は側にいないほうが変な噂にもならないでしょう。

あの早い成長はちょっと目立ちすぎになるでしょうから……

収まるまで暫くはココに置いた方がお互いのためだと思うわ」


結局オレはコノ館の子供としておばあさまの側に居ることになった。

まあ、この先の心配は早すぎる成長だけってコトだね。


宰相閣下はオレに「普通の子で居ろよ! 母上に迷惑かけるなよ!」と釘を刺して

王都に帰っていった。

戦争の後始末が山のようにあるらしい。

アレ以上痩せたりしないとイイんだけどね。



その晩、オレはまたアノ白い部屋に居た。

コレって夢なのか? 

神さま……おいでになるなら一言文句言っても……イイかな? 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ