80・赤・青・黄色。
結論! 美女じゃあ無かった!!
でも残念なんて思ってないもんね。美少女だったから。
子供もおられるのに二十代にすら見えないってどういうこと?
美魔女と言うなら王太后さま、王妃さま、側妃のフローラさまと揃ってるけど
この方はどう見ても美魔少女とでもいう雰囲気バリバリなんだよ。
まさかエルフとかじゃあないですよね?
「あら! 嬉しいことを言ってくれるのね。
今からそんなにお上手だなんて将来がコワイわぁ(笑。)」
小さな室内犬と一緒に迎えてくれたのは側妃ネージュさま。
ほんと可愛らしい方だったよ。
犬がお好きらしいね。
「大きな犬も好きなんだけどココで大型犬なんて世話係達に迷惑でしょ。
これでもガマンしてるのよ。
実家にいた頃はおっきな犬に乗ったりして遊んでたのよ。
まあ、子供だったしね」
なるほど……意外とオテンバさんなのかも。
彼女は第二王子の母君なんだそうだ。
お話なら王太子のライバル陣営で裏でイロイロ画策したりする位置なんだけど
そんな雰囲気は皆無だね。
だって脳天気が歩いてるって雰囲気なんだもん。
ライバル陣営を造ってる連中がいるとしても彼女はそういう連中の足を引っ張る
可能性が大きいと思う。
オレが見た限りじゃあね。
「私のお人形を造ってくれるんですってね。嬉しいわぁ。
アイリスさまのドールハウスがとっても素敵だったから私も欲しいなぁって
思ってたの。
それで他にも造って欲しいお人形を思いついちゃったのよ。
お仕事を増やして悪いんだけどお願いできないかしら?」
人形のモデルは王のご家族だ。
と言うことはもしかして……
「ええ。王さまのお人形をお願いしたいの。
モチロン王妃さまやフローラさまの分もね」
なるほど……三人で王さまを共有してはいるけど人形の王さまなら独り占めが
できるってコトだ。
まあ、たかがお人形だけど自分だけのモノってのは「アリ!」だよね。
王妃さまもフローラさまも快諾してくれたので王さま人形三体を受注したよ。
見分けが付くようにマントの色を変えることにした。
王妃ルゥナさまには赤いマントのを、フローラさまには青いマントのを、
そしてネージュさまには黄色のマントのを造ることに。
皆様のご希望の色をお聞きしたんだ。
お得意様のご希望はちゃんとお聞きしないとアキマヘン!(笑。)
退出しようとしたら後宮の侍女長に捕獲されちゃったよ。
「旧都の王太后さまの所の侍女長は私には叔母に当たります。
彼女から魔力を使ったマッサージの話を聞きましてね。
ココの王宮の侍女達にも手ほどきをお願いしたいのですが?」
え~と……いつの間にそんな話をされてたんでしょう?
「王が旧都に行かれたときに付いていった侍従が手紙を届けてくれました。
試してみましたらかなりの効果を感じましたよ。
回復魔法のできない私でも出来たので嬉しくなってしまって……
コチラに折角いらしたのですから直接いろいろ教えて欲しいんです」
彼女と手の空いている侍女さん達に魔力マッサージの講習会をすることに。
足の三里とか三陰交とかのツボも教えたよ。
立ちっぱなしなコトの多い侍女さんにはこの辺のツボって重要な気がしたんだ。
他の侍女さん達にも教えてあげてくださいねぇ。
今度こそ帰宅できると思ったら城の通路で宰相閣下に出くわしてしまった。
思わず案内係の侍女さんのスカートの陰に隠れて気配を消した!
通り過ぎて行ったのでホッとした途端つまみあげられていた!
「旧都で目立たないようにしてるハズのお前がなんでこんな所をウロチョロ
してるんだ?!」
あー……ホッとして気を抜いちゃったのがいけなかったみたいだね。
さて、どうしよう……逃げられそうにないんですけど(汗。)