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764・入れ替え。

 生け贄を捧げる理由は温泉が出なくなったからだそうだ。


「貴族の方々も別荘を構えて療養に来られるような場所なんです。

温泉が無くなったら……街そのものが無くなってしまうでしょう。

そんな時巫女様が生け贄を山の神様に捧げれば願いが叶うと言われました。

お告げと占術で選ばれたのが彼女だったんです」


でも、火竜氏はお告げも生け贄の要求もしていないと言う。

じゃあ、そのお告げは何処からきたのか? 


「巫女が嘘をついてるとしか思えんな。

ふん、ソイツに聞いてみるのが一番だろう」


火竜氏はそういうと右手の人差し指をクルクルと回した。

トンボはこの世界じゃあ見ていない。

当然,トンボをを捕まえるためじゃあないよね。

回した指の通りに淡い光の輪が出来た。

そうしてそれは見る間に大きく広がったんだ。


気付けばそこに一人の女の子が立っていた。

生け贄の彼女によく似ているがどうみても十歳くらいだろう。

この子が「巫女」様なのか? 


「さて、嘘吐きな巫女とはお前だな。

お告げを勝手にねつ造までして姉を生け贄にしようとしたのは何故だ?」


突然召喚されたのだからもっと狼狽えても良いはずなのにやけに落ち着いて

火竜氏のコトを見ている。

一度正体を三人に見せてから彼はまた人の姿になっていた。


「私はウソなんかついてないわ。

生け贄にお姉様を押したのは私だけど。

お告げは確かにあったのよ。

内容が生け贄だったのは私のせいじゃあないわ」


なんだって姉を生け贄なんかにしたかったのかね? 

そんなに姉が鬱陶しかったんだろうか。


「あと十年、いえ五年早く産まれていればサーシディは私を選んでくれたわ。

お姉様さえ居なければ私が彼の恋人に成れたはずなのよ。

だからお告げは都合がよかったの。

お姉様にキレイに消えてもらう為にね」


君はまだ十歳くらいだろう。

大人の恋を語るには早過ぎると思うけど。


「子供で悪かったわね。お前だってどうみても五歳くらいでしょ。

私の気持ちはもう大人なのよ。

お姉様に消えて貰って五年もすれば彼の気持ちもきっと私に向いてくれるわ。

なにしろこんなにお姉様と似てるんですもの」


あー、無理だね。

彼女の企みをサーシディ氏が知らなかったとしても。

あの様子では姉君を火口に捧げたら多分自分も飛び込むつもりだろう。

決意に満ちた顔で姉君を担いで登ってきたのだ。


「なるほど、話は理解した。

お告げをねつ造したヤツもな。

だがお告げを私利私欲に利用した時点でお前に巫女の資格は無いな。

お告げは生け贄を指名していなかったんだろ? 

この山の主たるオレが指名してやろう。

姉では無く妹のお前だ! どうだ? 満足か?」


うへぇ……いくらなんでもいいんですかねぇ。

生け贄を入れ替えちゃうなんて……(汗。)

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