73・眼鏡。
そういえば白黒の石だと目に負担がかかるからって濃い緑と白っぽい緑の
硬質なガラスでできた碁石をつくった女性の小説家がいたよな。
名前が出てこないけど……
ということでグリーン碁石を造ってみたよ。
錬金術も実はできるんだ。
ロザさんのを「見取り」しちゃったからね。
まだレベルは低いけど碁石くらいは軽いもんだよ。
「なんで緑なんだね? 他の色じゃないのは何か理由でも?」
緑色は目に負担が少ない色だとされてます。
鉛筆とか教室で使うグッズは結構緑色の物が多かったりしましたよ。
緑の多い所に住んでる人は少ない地域の人より穏やかな気質だとも言います。
色にはいろんな意味もありました。
「へぇ……たとえば?」
赤なら興奮や危険、青なら安全とか沈静、黄色は注意! なんてのがあります。
食卓に赤い物があると食欲が増す……なんてのもありましたね。
「面白いねぇ。色を気にするのはドレスを注文するご婦人だけかと思ったよ。
なるほど……意識しないでそういうふうに影響されてるのかもしれないね」
そういえばココに来てから観葉植物を部屋に置いてる所をみかけなかったよ。
そういうのは誰も飾ったりしないんだろうか?
「観葉植物なんて言葉すら初めてだよ。
ちょっと街からでたら緑は溢れてるからね。貴族の館なら庭は広いし。
わざわざ部屋まで持ち込もうなんて考えもしなかったなぁ。
花なら飾ったりするけど葉っぱを鑑賞するなんて誰も思わないよ」
緑の物を見るより緑の葉っぱのほうが効果があると思ってたんですけど……
ちょっと綺麗な葉の植物とか人気のモノが沢山ありました。
狭い部屋に住んでる人でも小さなサイズの鉢に植えたモノを飾ってたりします。
目と心にイイんですよ。
「なるほどねぇ……でもサスガに老眼まではなんともならないだろう?
老化現象は自然なモノだから回復魔法でもあまり効果が無いんだし」
あー……有るんだ……老眼。
あれ? ギルマスのお供の人に眼鏡をかけてた人が居たと思ったけど。
眼鏡自体はあるんだよね。
「ソレは多分近眼のヤツだろう。
若くても目の悪いヤツは大抵近眼なんだよ。
眼鏡は昔の勇者にかけてた人がいて彼が色々とココの連中に指導したんだそうだ。
でも召喚される勇者はみんな若いからねぇ。
老人の目の不調なんて気にも止めなかったんだろうね」
眼鏡で対処できれば……とは考えたんですね?
「うん……何度か試した者は居たんだけど成功しなかったんだ。
錬金術師は貴重でなかなかそんなコトには興味すら持ってもらえなかったから。
だから仕事は虫眼鏡が必須だったんだ」
ということで眼鏡屋さんに変身することに。
お試しなのでフレームは銅貨を幾つかチョイチョイと変形させた。
形は丸眼鏡にしたよ。レンズが入れやすいかと思ったんだ。
レンズは凸レンズ。重くない厚さにしないとね。
なんとかできたのでお試しを老人クラブの面々にお願いした。
でもやっぱり個人差があるようで微調整も必要だったよ。
「おおー……コレ……いいな。
遠くが見えづらくはなるけど手元で仕事をするときだけ使えばイイんだから
コレはありがたいよ。
虫眼鏡片手だとなかなか仕事がはかどらなくてねぇ……」
なんとか完成してほっとしたよ。
カール君は何にも言わなかったけどギルマスにはしっかり報告したようだ。
次の日にギルマスがすっ飛んできて自分の分を特注したからね。
老眼……来てたんだね……ギルマス。




