743・同情。
結局、全員メタボロにされましたぁ。
くっそう! 手加減って言葉の意味がアルフォンスさんとオレじゃあ
違うとしか思えなかったよ。
頭にきたので近衛兵も含めて全員回復魔法で全快させたんだけど……
「ありがとよ! お前等回復出来たんなら続きだ! 続き!
いやあ、オカゲでいつもより目一杯まで訓練できるなぁ」
見学枠のオレ達子供は一回で済んだけど近衛兵さん達……
なんか悪いことした気がする。
「すごいな。サスガにオリーザ最強騎士と言われるだけ有ると思う。
アドバイスも的確だし勉強になったとしか言えないよ」
「北の国でもあれほどの者は居ないと思う。
彼からしたら初心者でしか無い私達相手でもちゃんと指導してもらえたし」
それでも魔王陛下には一発で吹き飛ばされたと言ってましたよ。
まあ、王都の勇者がいたのでなんとか停戦から終戦へと出来たんだそうです。
あの勇者はとんでもない規格外な方だったそうでオリーザ国は幸運だったかも。
「規格外か……アロートが呼んだ勇者はまだ子供だったしな。
アルフォンス殿に敵わなくても当然だった訳だ。
それにしてもお前は回復魔法もできるのか。
変なヤツだとは思ってたがお前も規格外ってことか?」
あー、王都の勇者と彼の妻となられた聖女の魔力の暴走のせいで少しばかり
普通と違っちゃってますからね。
父から色々叱られてばかりですよ。
私としては普通で居たいんですけどね。
「そういえばまだ礼を言っていなかったな。
姉を止めてくれてありがとう。
彼女と親しかった訳ではないが存在は知ってたんだ。
でも、私の手出し出来ることではなかった。
私を殺す気は無かったと言ってたけれど驚いたのも事実だから気分としては
複雑なんだよ。
でも同情できるとも思ってしまった。
父が寛大な扱いをしてくれると良いんだが……」
怒りより同情を感じてるのか。
同じ父親の子供でも親しくないというのは王族だとありがちなんだろうか?
オリーザ王家の方々は普通に「家族」をされてると思うんだけど。
まあ、この世界は男子優先の世界だ。
王子同士はライバルでもあるだろうから親しく出来ない事もあるだろう。
影武者な彼女は北の国の後継者争いに巻き込まれたとも言える。
同情しつつオリーザが舞台じゃあないと良かったのにと思ってしまった。