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70・壁掛け。

 結局結論は出なかった。

でも、今まで教科書について疑問にも思ってなかったようで他の先生方と

話してみてくれるという。

現状維持は楽なんだけどね。

問題があるのは見えてたようだからなにがしかの進展があるかもしれない。


今までずっと使ってきたモノを突然替えるなんてのはエネルギーの要ることだ。

千里の道も一歩からって言うもんね。

ちょっとでも変化があれば子供達も変化していくかもしれない。

嫡子でも嫡子でなくても跡継ぎでもそうでなくても同じ学園の生徒なんだから

仲良く楽しく過ごしてほしい。

子供でいられるのはほんの短い間なんだから……


平民の子達は成人してなくても働いている。

夜中の仕事までしてる子もいたよね。市場の仕事だったけど。

庶子でも貴族だから学園にいて働かなくて済んでいるって分かってるんだろうか? 

自分の立場が庶子だってコトだけで無気力になってる子が居るってのは自分のコト

だけしか見えてないのかもしれない。

やっぱり社会勉強は増やして欲しいもんだね。


お土産に焼き菓子なんかをお渡ししてお帰りいただいた。

お客を招待したのってココに来てから初めてかもしれない。

モニターズの子達は遊んでるようでもお仕事だったしね。

まあ、美人な女性だったらもっと楽しかったかもしれない。



 なんて思っちゃったのがマズかった。

来ちゃったんだよ! 美人な女性が! 

乗り込んで来なくてもちゃんと造ってますってば! 

王太后さま!! 


「ヒマなのよ! 王都から来てた貴族達はみんな帰っちゃったし。

リリア(第一王女)が来るのはもう少し先だから面白いことが切れちゃってるの。

この館も暫く来てなかったからたまには気分転換になるかと思ったのよ。

囲碁のリベンジもしたかったしね」


あ! ……やっぱりおばあさまが勝ってたのか。

王太后さま相手でも容赦ないんだねぇ。

王太后さまってお仕事は無いんだろうか? 

いや……来るなとは言わないけどさ。


できかけのドールハウスはまだ未完成ながらご満足頂けたようだ。

このまま完成させるようにとお達しを頂いた。

と言うことで解放されたと思ったんだけどおばあさまの部屋に行かれたと思ったら

また呼ばれちゃったよ。

おばあさまがメイドさん達と造ったパッチワークの壁掛けが目に止まったらしい。


前世ならサンプラーキルトと呼ばれてるタイプなんだけどね。

ソレはおばあさまが造ったんだからおばあさまに聞いて下さいよ! 


「この子に色々聞いて造ってみたのよ。

見本の図案を並べて大きな壁掛けに仕立てたの。

初めてにしては上手くいったと思うわ。」


「意外と器用だったのね。なかなか素敵だと思うわ。

全部自分で造ったのかしら?」


「メイド達にも手伝ってもらったわよ。

みんなのお裁縫の練習にもなったみたい。

自分用のを造ってる子もいるわよ。

手の空いたときにチョコチョコできるしね」


生活魔法やクリーンの魔法が上達したせいでお仕事に余裕が出てきてるとか。

おばあさまの相手もできる時間が増えたようでメイドさん達もゴキゲンなんだよ。


「ヌイグルミはキットがあるわよね。

コレはキットは無いの?」


あー……パッチワークの方はキットは造ってないんだよ……まだね。

ヌイグルミも大分出たからそろそろ違うモノを出してもイイかもしれない。

お裁縫の練習……ね。

ミシンが有るわけも無いからみんな手縫いなんだもんね。

オレはミシンが使えたけどサスガに構造までは分からない。

姉達の電動とばあちゃんの使ってた足踏み式と両方有ったんだよ。オレんちって。


……動きを説明すれば造れる職人さんが居るかも知れない。

コレは検討事項にしとくかね。


パッチワークのキットはおばあさまとヌイグルミのキットをお願いしてるお店に

相談してみることにした。

ダメでもちゃんと試してみないとね。

だから……そんなコワイ笑顔で見ないで下さいよ。王太后さま。

ちゃんと試しますよ! ちゃんとね!! 

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