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717・変革。

 花嫁のお腹の赤ちゃんは男の子だった。

どっちか知りたいか確認したら夫婦揃って「知りたい!」と答えたよ。

次代の魔王となるはずの子なので皆が気になって仕方なかったらしい。


オレの鑑定はどうも魔王国の鑑定士より強力だったようだ。


「まだ小さすぎるから鑑定でも出て来ないって言われたのよ。

ありがとう。これで暫く皆落ち着いてくれると思うわ」


男女どちらでも魔王陛下は気にしないと言ってくれたそうだ。

ただ、魔王国もオリーザ国と同じで男子優先の傾向がある。

魔女王国は反対に女性優先なんだそうだ。

まあ、その辺りは文化と伝統と言えるから部外者な他国人の口出しは禁物だね。


「跡取りが女性でも文句は言わせる気は無いな。

だがずっと男性優先でやって来ている国だから突然女王となったら戸惑う者も

多いと思う。

男の子の方がスムーズに行くのは確かだろう。

まあ、ちょっとホッとしたってのが本音だよ」


新しいコトは注目注視されるのが当然だ。

変革はエネルギーにも満ちている。

そうして大波になることも多い。

大波に翻弄される人が一人や二人で済むはずもないし……


それでも王妃を女性優先の国から迎えたことは変革の兆しなのかもしれない。

彼女はその辺りを分かってるのかな? 


「一遍に魔女王国のようにしたいとかは思って無いのよ。

前世の記憶のこともあってあの国もこの国も微妙にかたよってる気がするし。

陛下のお考えもあるしね。

前世の国だって男女平等と言いつつホントに平等? って思うこともあったもの。

この国に合った形は自分達で探したいわね」


おおっ! ただ愛らしいだけの花嫁じゃあなかったよ。

彼女は妻となることで夫と子供のことだけじゃあなく国のことも考えないと

イケナイ立場になったんだね。

そうしてソレをちゃんと自覚している。

覚悟も決めてるようなのでオレなんかの余計な心配は無用だね。


 

 それでもオレは彼女のことが心配だった。

なのでお祝いの言葉と共にくれぐれもよろしくと陛下に頭を下げた。

前世の世界が同じというだけの薄い縁でしかないけれど確かに縁ある人なのだ。

結婚の直前で事故死してしまった好きだった彼女のことを思い出す。

幸せそうに笑っていた姿が今でも目に浮かぶ。


花嫁は皆、幸せになって欲しいと心からそう思った。

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