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4・執事と奥さま。

 よく似てる……ソレが第一印象だった。

メイド長をしている妻も同じ感想だった。


「ホント、若さま……いえ宰相様の子供の頃にソックリよね。

左腕が魔力の複合作用で変化したなんてウソォ! って思ったんだけど……

これだけ似てたらまるきりウソって訳じゃあなさそうよね」


まだ赤ん坊なのでしゃべり方がタドタドしいけれど言うことは分かる。

もっともこの月齢の子は普通はしゃべれないんだが。


『宰相さまがコチラの館に居るようにと言ってくださいました。

妙な存在だというのは自分でも分かってます。

ご面倒でしょうがよろしくお願いします』


子供の挨拶じゃあないねぇ……

宰相様の手紙にも少し書いてはありましたがいろいろと変わってるのは確かです。

なにしろ一日ごとにグングンという感じで成長していくんですから。


『一週間で一ヶ月くらいな感じで成長しちゃってるんです。

宰相さまはこのまま成長してそのままのスピードで老化するかも……

なんてコトを言われてました。

まあ、ソレでも仕方ないとも思ってますけど』


一気に成長して一気に老化……あー……ソレは……


『普通のノンビリした人生を送れるようにと神様がご配慮下さったハズ

だったんです。

残るはずの無かった前世の記憶も残ってますし……

まあ、もう一度死んだらちょっと苦情でも言ってみたいです』


い、意外とノンキな方みたいだな……

前世ってどんな人生だったかお伺いしても? 


『こちらみたいな身分はほとんどありませんでした。建前としては。

国の重要人物は勿論重く扱われますし、代々の伝統を持った家の方はソレナリに

尊敬もされてました。

オレ……いえ私は普通の平民で大きな商売をしているところで働いてました。

休暇に出かけた先で転落事故に遭ったんです。


普通の夫婦の普通の子供として転生すると言われたんですけどね』


仕事をされたとすると成人はしてましたか? 


『成人は二十歳でしたよ。成人してました。

結婚はしてませんでした。仕事を始めて八年ほどでしたね』


ココでもう一度最初からやり直しなのにはウンザリとかされませんでしたか? 


『予想外のスタートでウンザリなんてしてられませんでした。

コノ館に来てやっと少し落ち着いた気分になれました。

なるべく皆さんの迷惑にならないようにしたいと思ってるんです。

よろしくお願いします』


言うことは大人でも体は赤ん坊なのでどうにもならないらしい。

赤ん坊の体で大人と同じに動けるなんてのはコッチも敬遠したいところです。


奥様は私たちの会話をニコニコされながら聞いておられた。

そうして歓迎するとおっしゃられた。


「庶子でもあの子の分身でもこの家の子供にはかわりないわ。

なによりあの子が認めたんですもの。

一族の一員としてココに居てちょうだい。

前世の記憶があると馴染むのが大変かも知れないけど…… 

その辺りはお互いに努力してみましょう。


あの子の分身とは言ってもとても息子がもう1人できた気分じゃあないわねぇ……

私はアナタの祖母ということでイイかしら?」


奥様は楽しそうだ。

旦那様(前当主)がコチラに引退されてからたまにしか宰相様に会えないと少し

寂しく思われていたようだった。

あの子が奥様のお気持ちを慰めてくれるならそれだけでも有り難いことだ。


旦那様が亡くなられてから奥様は感情が希薄になっていかれていたように思う。

奥様のためにもあの子がココにいるのは良いことだろう。

まあ、かなり変わってることは確かだけどね。

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