691・北の国。
それにしてもなんで北部の地味は他の地域より極端に肥えていないのか?
何度か鑑定を繰返して出た結論は「火山灰」だったよ。
ダテさんの森の北には高めの山が連なっている。
そこにはドワーフ達が国を造っているそうだ。
なかなかの引きこもり種族なようで他の国とは交流が少ないらしいけど。
北の国側に火山があるそうでソレが噴火したときの火山灰がオリーザ国まで
飛んで堆積したのが原因みたいだね。
火山灰は成分によっては強酸性だったりするし植物の成長に必要な肥料成分なんか
入ってるわけも無い。
それでも長い時間が経てば粘土状に変化することも有る。
関東ローム層ってのが教科書に出てたけどコレは富士山とか箱根山、関東北部に
ゾロゾロある浅間山・赤城山・榛名山・男体山などの火山灰が変化したモノだ。
関東の温泉の色が茶色とか黒っぽい色が多いのはコレのせいだそうだ。
まあ、そうなるまでにはとんでもない時間が必要だろうけどね。
それでも植物は強い!
どう考えても不毛なはずの火山灰土や溶岩が固まって生えるのは不可能と思える
場所ですら大きな森に変化させてしまったりする。
富士山の裾野にある「青木ヶ原樹海」なんかはその典型だろう。
あの土地は溶岩がゴロゴロと転がりまくってる場所なのだ。
樹海になるまでにどれくらいの時間がかかってるんだろうね。
そんな不毛な場所に最初に生えるのはコケ類だそうだ。
風で胞子を飛ばし少しの水分で繁殖し乾燥にも強くてひとたび雨が降れば
予想外なほど水分を蓄える能力を持っている。
そうして完全に枯れてしまっても水分を蓄える能力を保っている。
後から来た他の植物をその水分で育むのだ。
北部の土地には溶岩は存在しない。
北の国には溶岩だらけの土地があるそうでやっぱりソコも人口の少ない
寂れた地域になっているんだそうだ。
まだオリーザ北部の方がマシってコトだね。
北の国は国のほとんどが草原だそうだ。
なので牧畜の国となってるらしい。
部族社会でもあるそうでなにかというと国の中で揉めることが多いそうだ。
時々そのトバッチリがオリーザに飛んでくるのだと。
ギルマスが言うことには、
「魔王国との戦争で馬が足りなくなりましたから多少でも譲ってくれるように
話を何度も持って行ったんですが……
まあ、けんもほろろとはあのことですね。
オマケになんとか話を纏めても値段を吹っ掛けまくってくれました。
オリーザ国が困ってるのを喜んでるとしか思えませんでしたよ」
北の国は王室の後継者争いの真っ最中だそうだ。
そういうときにオリーザ国にトバッチリが来ることがよく有ったそうで宰相閣下が
ピリピリしてるのはそのせいらしい。
国の外に敵がいると国内を纏めやすいというのはコノ世界でも同じみたいだね。
勝手に敵に認定してくれるなんて困った連中なのは間違いないと思う。
北部は時々戦場になってきたそうだ。
広さだけはあるから上手く敵を誘導できれば領民の被害を減らせるかもしれない。
今すぐ戦争! とはいかないだろうけどそうなっても慌てないように備えることは
悪いことじゃあないだろう。
自然災害も戦争も起きたら国には大被害になるのは同じだとなぁと
連想してしまうヘンリー君なのでした。