66・雨宿り。
ゴムの木(?)について誰か知ってる人を……と思ったけど「植物大辞典」が
有ったのを思い出して枯れ木の切り株さんことスタークさんに聞いてみた。
確かにあるという。
なので新公園の様子もついでに見てこようと思って出かけたんだ。
驚いちゃったよ。
先に造った公園とはまた違った感じのアスレチックが展開してたんだ。
まだ制作途中で作業中だったけど職人さん達によると子供達の要望だそうだ。
「向こうと同じじゃあつまらないって言うんですよ。
後から造るんなら向こうのより面白いのにして欲しいって。
オレ達も同じのばっかりじゃあ飽きると思いましてね。
ちょっと色々やらせてもらったんです」
なるほど……同じようでも違うモノか。
向こうとコッチで違うなら少し遠くても出かけてみようかって気になるだろうし
別に反対する理由も無いよね。
少し予算を増額してあげることにした。
職人さんやギルドの持ち出しになったら悪いからね。
でももっと驚いたのはスタークさんの住んでる買い取った館だった。
なぜか人が大勢いる気配がしたんだよ。
でも静かなんだよね。
何だろうコレ? と思ってたらガラガラガッシャーンと何かが落ちた音がした。
スタークさんはしまった! という顔をした。
あ! 何か知ってるね!
バレたと思ったスタークさんは白状したよ。
この館に居るのは彼だけではないと。
結局ゾロゾロと十人程の老人達が現れた。
全員スタークさんの友人でみんな彼と似たような境遇なんだそうだ。
「皆、住んでいた館から追い出されました。
ハッキリ言えばクビにされたんです。
多少の金が無い訳じゃあないですが安宿でも泊まればタダじゃあありません。
なのでココは私一人なので暫くでもと思ったんですが……その……
次から次へと増えてしまいまして……」
聞けばドコの貴族家でも戦争の影響がでているのだと言う。
「館を処分したり貸し出したりされる家が増えました。
主人が亡くなられていると特にそうなるようです。
亡くなられていなくても領地に戻られたりもするみたいですし……」
ああ……なるほど……みんな居場所が無くなったんだね。
皆さん、ご家族はどうされたんですか?
「家族には迷惑をかけたくないと思って……知らせてないよ。
別の家に仕えているからソコに転がり込むのもなぁ。
かと言ってこの歳で仕事が新しくあるはずもない。
スタークが羨ましいがそんな幸運がそうそう転がってるとも思えない。
ココで雨宿りさせてもらって有り難かった。
友人達と一緒に居られたしね」
う~ん……雨宿りかぁ。
まあ、仕方ないかもしれないと思ったのはほとんどの人が学園の庶子組だった
ってコトなんだ。
嫡子とはスタート時点からハンデがあるからなぁ……
ところで皆さんスタークさんと同じようなお仕事だったんですか?
「ココに居るのはほとんどそうだな。
同じ仕事があればしたいがスタークの仕事を取りたいわけじゃあないよ。
泊めてもらった恩もあるしね」
就業意欲はあるみたいだね。
ということで辞書の仕事を手伝ってもらうことにした。
スタークさんが総指揮官ということで。
館に居住を許可して食事も提供することにした。
キッチンスタッフを増やしてローテーションでココをも担当してもらうコトに。
いきなり全部任されてもキッチンスタッフも困るだろうからね。
学園の教科書も揃ってるからソレに即したモノを作るのは簡単だろうと思う。
みんな学園の卒業生なんだもんね。
後輩のために頑張ってくださいねぇ(笑。)




