686・図書館。
学園の図書館には大分通った。
なのでほとんどの本は読んでしまった。
いやぁ、速読のスキルってマジ便利!
まあ、持ち出し禁止図書とか禁書庫の中とかは手出しはしていない。
五歳児がそんなアヤシイ代物に手出ししてるなんて絵面は
自分でも見たくないもんな。
過去の勇者の残した「読めない本」はアノ「官能小説」だけだった。
後は全部メモ書きの塊だったよ。
それでも「勇者縁の品」としてソレナリの価値があるらしい。
読めなくても。
……オレは読めるし書けるんだよね。
なんか偽古文書とか作れそうな気がして来ちゃったよ。
そういえばヨーロッパの貴族達の間で中世とかの古文書を勝手に作るのが
趣味として流行ってたことがあるそうな。
文化に詳しくていろんな教養が無いとそんなモノは作れないという認識だった
ということらしい。
ハハハ……教養の無駄遣いというか遊びの極みというか……
端から見たらアホなことやってるなぁ……というか。
旧都王宮の図書館も学園の図書館もほとんど制覇したので過去の勇者達について
大体纏めることが出来たよ。
多分、帰れただろうと思える人はほんのわずかだった。
勿論戦死者も居たね。
行方不明の人も。
逃げたのかもしれないけど。
定住したと確認できた人は少ない。
召喚理由が果たされると厄介者扱いされたような人も居た。
まあ、呼んだ方も「極めて人間的」だったみたいだね。
初代国王陛下が配慮するようにと色々遺言しててもコレなんだもんな。
やっぱり彼も理不尽な扱いとかされたのかもしれない。
魔王に逃げられたと嘘までついて自分の国を立ち上げたのはそのせいかもね。
纏めたモノは本に仕立てて王太后様と陛下に献上した。
王太后様はともかく陛下は最高権力者だ。
また、召喚を決断しないとイケナイ場面に遭遇されるかもしれない。
召喚が防げないとしても召喚された勇者達の扱いが少しでも良くなるように
帰還への配慮を考えてもらえるようにしてほしいところだね。
まあ、暫くはこの国では召喚は行われないはずだ。
西の国がやっちゃったけど「役立たず」だったから次回は無いと思う。
他の国も召喚についての知識はあるそうだ。
「役立たず」の情報が広がっていれば使おうとはしない……かもしれない。
う~ん、希望的観測だよねぇ(笑)。
図書館で一息ついて外の庭を見ながら休憩した。
低学年の子供達がボール遊びをしてたんだ。
庭の端でベンチに座っていた子をなんとなく見ていたら「授与」のスキルが
反応した。
まだ八歳くらいの子だったよ。
北部領地の孤児院の子達やこの街の神殿の子達にはスキルが付くかどうか時々
チェックを入れてたんだ。
学園の子達、特に十二歳以下で入学する子達は庶子だけど孤児じゃあない。
スキルについてのチェックは入れて居なかったんだ。
庶子でもスキルが付くなら嫡子並みとは行かなくても多少でも生きやすくなる。
凸凹コンビな先生方に相談してみようか。
勝手にチェックするのはやっぱりマナー違反な気がするしね。




