669・ちぢれ麺。
姉達は家事は万能と言ってイイ腕だった。
三人で切磋琢磨していたということでもある。
結構有名なプロの「研究家」の助手をしたりしてたんだよ。
と言うことで麺打ちはプロ並みだった。
うどんも蕎麦もパスタもお手の物で勿論ラーメンもやってたよ。
オレ? 「私は食べる人」って位置だったね。
「お前も打て!」とは強制されなかったし。
まあ、「お毒味役」ということだよ。
麺打ちを見ていたので手順は分かる。
なのでうどんを打てるキッチンスタッフに手伝ってもらった。
「かん水」をどれくらい使えば良いのか手探りだったしね。
そのあたりは料理長・ソラナムさんの勘が働いてくれたので苦労はしなかった。
引っかかったのは「ちぢれ麺」だった。
ストレート麺なら普通にカットするだけだ。
……あの「ちぢれ」はどうやってたんだろう?
勿論、ストレート麺も嫌いじゃあ無い。
でもちぢれ麺……好きなんだよなぁ。
出来たストレート麺に打ち粉を振って一本取り出した。
伸ばして指に巻き付けて……と弄っていたら覗いていたミーアが
手を出していた。
あぁあぁ、ソレは粘土じゃあないんだけど……
ところがミーアが弄った麺がちゃんとちぢれ麺になっていた。
そうか! 揉んでみれば良かったんだ!
ありがとう! ミーア!
キッチンスタッフ達に試食をお願いしたよ。
スープはコンソメ風醤油風味。
トッピングは煮豚モドキとタマゴと茹で青菜。
長ネギは無いのでタマネギを木魔法で発芽させて葉っぱを小口切りにした。
ラーメン屋さんが怒りそうだなぁ。
ストレート麺派とちぢれ麺派は半々だったよ。
まあ、どっちも美味しいとは言ってくれたんだけどね。
一応、これで完成! だよね。
後は西の国の王弟殿下からご用命のあった「味噌ラーメン」だなぁ。
味噌はまだ手つかずなんだけど。
キッチンスタッフ達がなにやら試食したらしいと気付いたメイドさん達は
自分達にも試食させてほしいとヘンリー君に要望しました。
どうも試食に参加したミーアから情報が漏れたみたいですね。
宰相家の養女になっても今まで通りに接して欲しいと頼んだのでメイドさん達と
仲良しなままなんです。
結局、ラーメンは賄いのメニューに追加されました。
でも、完成したことを王太后様に報告し忘れたヘンリー君。
お怒りな王太后様がわざわざ宰相家の館まで来てしまいました。
あー、もう平謝りしかないですよねぇ。
お気の毒さまでしたぁ。
今年が良い年になりますように。
暮れに入院中だった弟が父と母のもとに行ってしまいました。
コロナのせいで面会出来ず呼ばれて駆けつけたときにはもう……
まだ温かかったのが余計に悔しかったです。
世間はめでたい正月なのにと思うと気力が失せていく気がしました。
また不定期更新になるかもしれませんがもう少し続けてみようかという気に
なんとかなってきました。
もう暫くお付き合い頂けたら幸いです。
今年が良い年になりますように。