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657・王族。

 リリア王女は困惑されていた。

婚約者が突然次期国王となってしまったからだ。

隣国の王族に嫁ぐことになってはいたものの第三王子で王位につくなんてことは

想定外そのものだったもんな。


外国から来たというだけで警戒されるだろうことは覚悟されていたそうだ。

でも言うなれば予備の予備な方がお相手なので注目も風当たりも少ないハズと。

それが……


王子の子供のことは気にならないんだろうか? 


「夫の妻が一人だけなんてことは王族ならあり得ないことよ。

まあ、まさか結婚前から子供が居るなんてのは予想もしてなかったけど。

王位継承権は与えられなかったから私の子供のライバルにも成らないわ。

立場と母親のことを聞けば同情もしてしまったし。

王子が認知を公に出来ない事もね。


ともかく無事に産まれて無事に育って欲しいと思ってるのよ」


王子は騎士の妹に対しては特別な感情はお持ちではないと察したらしい。

彼女は王子も子供も拒否しているとなれば同情は子供に向かったということか。

オレも子供に同情しちゃってるしなぁ。

下手をしたら殺される可能性すらある立場の子なんだ。

グラディス王子も殺され掛けてるし。


公に出来なくても認知はされることになったし危険は回避されることになった。

運が良い子ってことになるんだと思うね。


騎士の妹は目立たないように侍女長とともに田舎の修道院に居る。

家族の供養のために祈りの生活を送っているそうだ。

子供が産まれたら出家したいともらしているという。

ますますリリア王女のライバルにはなり得ないよなぁ。


「それでもまさか将来は王妃なんてことは想定外だったわ。

奥宮も大騒ぎなのよ。

アロートからも内々で教育係が来たわ。

王妃教育が始まるみたいなの。

コチラの王妃様や母まで張りきっておられて閉口しちゃったわ。

学園もあるから最初からハードって訳じゃあなさそうなんだけど」


アイリス王女はどちらかというと勉強の類は嫌いな方だ。

でも出来ない方では無い。

まあ、「勉強」と名が付くものが苦手だってだけみたいだね。


リリア王女は誰に聞いても「優等生」な方だ。

多分王妃教育も軽くこなされると思う。

大変でしょうが頑張ってください。


「大変なのは私よりグラディス様だと思うわ。

王になるとなったら私より色々なことが押し寄せて来るでしょうし。

まだ産まれても居ない子供の心配どころじゃあ無いと思うのよ。

少しでも手助けとかできると良いんだけど。


ああ、ヘンリー……アナタにもお願いしておきたいわ。

なんでも良いから王子を手助けして差し上げてほしいの。

子供のアナタに頼むのは変かもしれないけど……

王子はアナタと居ると楽しそうなのよ」


オレは国の事とかには関係無い立場だ。

そういうこともあるんだろうと思うね。

緊張しないでいられる、リラックスしていられる相手ってことだろう。

まあ、彼にはそういう相手やそういう時間はこれからは特に貴重になると思う。


王様って大変だなぁ。

オレ……王族じゃあなくて良かった。



 宰相家の子でいるのも時々窮屈に思ってるヘンリー君。

王族なんて君がこなすのは絶対無理だと思うよ。

前世の記憶が有ったとしてもね。

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