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656・いらない子。

 アロートの第二王子は病死されたことになった。

王も同じ病気ということで病床に伏されていると。

王宮関係者だけで無く何人もの死者と重症で再起不能な方々が続出した。

代替わりした貴族家もゾロゾロだそうだ。


引退だけで済ませてもらった家々もあったということらしい。

「家」を存続するのが貴族の至上命題なので当主をすげ替えるくらいなら

簡単な事だったようだ。


奥宮の方々は王宮から避難していただくことになったという。

前王妃である第二王子の母君も王の母君の第三妃も全員王宮から移動された。

行く先は各所にある離宮だそうだ。


「数だけは多いんだ。

昔ひたすら離宮を造った王が居たんだよ。

管理も大変なんだが今回は助かったって思ったね。

新都を築くようにと兄王が言ってたんだがまだ計画段階なんだよ。

この国のように一時避難に使う場所なんて想定すらしてなかったからね。


奥宮の女性達の中には秘密を知ってる方々も居るが離宮で頭を冷やして貰えば

後のことを納得させやすくなると思う。

まあ、なってほしい……ってのが希望なんだがね」


戦争時に旧都を一時避難の場所にしたことはご存じらしい。


それでも難民までは収容できなかったんですよ。

なので元の城壁の外に新しい城壁を建設中なんです。

失業対策の公共事業でもあります。

予算が無いので寄付で賄ってるんですけどね。


「その話は聞いたことがあるな。

だが……寄付で? 一体誰がそんな大金を寄付出来たんだね? 

国の予算がを出せない事業にそんなことが出来る者がいるのかね?」


王太后様のご希望でしたから旧都の商業ギルドを始め住民達が寄付しました。

銅貨一枚でも受け付けましたから何人かで銅貨一枚なんて例もあったんです。

そんなことを建設をしてる人達も知ってますから。

思った以上の仕上がりですよ。

完成にはまだまだ掛かりそうなんですけどね。


 

 王弟殿下は旧都に興味が湧いたらしい。

陛下の許可を取り付けるとオレと一緒に旧都に付いて来てしまった。

王太后様にグラディス王子が世話になっている礼を言いたいんだそうだ。


そうして二人はグラディス王子の子供と侍女長じつぼと近衛騎士の妹について密談を

したらしい。

王弟殿下の知らない秘密もあったようで驚いていたんだそうだ。


「結局産まれたら侍女長に世話をさせることになったわ。この国でね。

一応内々な人質ということで。

王子は次期国王だけど子供には王位継承権は与えないと決まったの。

持ってても危険なだけですものね。

グラディス王子は一年で帰国してもらうことになったのよ。

現王が生きていると誤魔化せるのはそれくらいでしょうから。


あの騎士の妹は子供を拒否してるわ。

子供が産まれたら自分を処罰してほしいって言ってるのよ。

アナタを傷付けたから処罰されて当然だと言ってるの。

毒のことは詳しく聞いてなかったそうなんだけど。


アナタがあの子をどうして欲しいか聞いて置きたいの。

一応法律もあるけど情状酌量の余地があると思うのよ。

でも一番の当事者はアナタですものね」


彼女には同情している。

でももっと可哀想だと思うのは産まれてくる子供の方だろう。

一番愛してくれるはずの母親から産まれる前から拒否されているなんて! 


なのでオレは彼女についてもまだ産まれていない彼女の子供にも寛大な処置を

お願いすることにした。

皆が納得する道……それに一番近い道を選びたかったんだ。


それでも納得出来ない顔をしていた方も居た。

グラディス王子だ。

自分の子でも自分の思うようには扱ってやれないのが悔しいのだと言う。


養母の側妃様以外からは要らない子扱いされていた自分と重ねているらしい。

まだ産まれても居ないんですけど……

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