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654・皆が納得する道。

 王太后様は国の政治には口出しを控えておられるのだ。

余計な口出しは現政権の足を引っ張りかねないからね。

だからオレなんかが口出しは出来ないしする気も無いんだよ。

なのに王都からの呼び出しが来たんだ。夜中にね。

こんな夜中に一体何の用事があるんだろうね、まったく。


転移陣にはグラディス王子も一緒だった。

コレは西の国案件なんだろうか? 


宰相閣下が出迎えてくれて連れて行かれたのは奥宮だった。

端の目立たない部屋に客がいたけれどベッドの中だった。

?……誰なんだ? この方は……


「叔父上! ご無事だったんですね! 

知らせでは暗殺されたと聞かされて……」


「『された』というより『されかけた』……だな。

もっとももうじき『された』になりそうだ。

毒がアレだったからな。

多少耐性を持っては居るが多少でしかない。

兄上にもうじき会うことになりそうだ」


確かに顔色も悪いし鑑定でもジリジリと生命力が減ってきている。

毒がアレってことは近衛騎士の妹のかんざしに仕込まれていたアレなのか? 


「あの侍女が使ったモノと同じかと思ってな。

だがミーアでは不安定すぎるからお前を呼んでみたんだ。

即死してもおかしくない毒なのに王弟殿下もお前も即死しなかった。

ならば治療が出来るかもしれないと思ったんだ」


王都の神殿でも何人か神官様達が試したけれど歯が立たなかったと。

ということはあのゲームの解毒呪文を使ってみるしかないか。

王弟殿下に熟練者ではないことをお詫びして『〇△□ー』と唱える。

ミーアは魔力と祈りを込めていたと管理神様が言われていたのでもう思いっきり

やっちゃったよ。

……やりすぎたかもしれない。


結果! 成功したよ。

まあ、ちょっとばかり魔力を使いすぎたけどね。

初めてみたいなものなので加減が上手くいかなかったんだ。


「すごいな。まさかアレを解毒できるとは……

アロートでもアレを解毒できる神官は居なかった。

一体君は……」


まあ不審に思われても仕方ない。

でもその辺りは宰相閣下に丸投げして退出させてもらった。

子供を夜中に呼び出したんだ。

用が済んだらさっさと退散するに限るよね。



 クーデターで襲われた国王とさっきの先王の王弟殿下は現場から

逃れることは出来たのだけれど毒を使われたせいで国王は死亡。

王弟殿下は手当の最中に追撃されて転移陣に飛び込むハメに。

着いた先がオリーザの王都神殿だったのだけれど対処が出来ず

王宮に匿われることになったのだそうだ。


第二王子が主犯だってのは本当だそうだ。

取り巻きとか後ろ盾の貴族が勝手にやったのではなく本人が刃を

向けてきたのだそうだ。

あー……アホだよなぁ。


こういうときに自分が前面に出るのは悪手だと思う。

周りが勝手にやったけど事態を収拾するためにやむなくその任を勤める

といったポーズくらいはしないと周りへの印象が悪くなる。

あからさまでもそういう体面は必要なのだ。


ましてや今回は王は仕留めても叔父な王弟殿下に逃げられている。

王殺しの罪を彼になすりつけたとしてもオリーザがバックに付くとなれば

タダで済む訳も無い。

こちらには第三王子も居るからね。

旗印には困ってないってことだ。


王太后様はグラディス王子の侍女の件で「皆が納得する道」を探すと

おっしゃられた。

西の国・アロートのクーデターに「皆が納得する道」ってあるんだろうか? 

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