649・詳細鑑定。
誤字報告やブックマークを有り難くおもっております。
家族の入院や体調不良で低空飛行状態に陥っております。
更新ペースが落ちてしまいお恥ずかしい限りです。
エタってしまいたいわけではありません。
なんとか頑張っていきたいです。
ペースダウン……お目こぼし頂けたら嬉しいです。
侍女長は西の国・アロートの前王の愛人の一人だったそうだ。
正式な妻ではなかった。
そういう愛人は他にも何人も居たのだけれど彼女達にも妃達にもなかなか
子供ができなかったそうだ。
そうして侍女長は一番最初に子供が出来た。
無事に産まれたら地位は低くとも側室として認めてもらえたはずだった。
でも……無事に産まれたはずの王子は彼女の元から連れ去られた。
そして子供の死を告げられる。
王に泣いて訴えても無視されるようになりやがて王の足も遠のいた。
侍女としての位階は上げられたのだけれど。
彼女が出産した直後に妃達が次々と王子・王女を出産し彼女の子供の事は
忘れ去られた。
だから彼女が色々調べても誰も怪しまなかったらしい。
忠実な侍女の一人でしかないと思われて居たから。
結局彼女の子供は妃の一人が暗殺したらしいことが判明した。
他の妃達もソレを黙認していたこともわかった。
第一王子はたとえ愛人の子でも妃達には大きな脅威だったらしい。
侍女長は子供の敵をとろうとした。
王子達や王女達には手が出せなかった。
でも彼女の子供を暗殺した妃を王から離すことには成功した。
王から離された妃は心を病んで亡くなったそうだ。
忠実な顔で少しずつ少しずつ妃達の間に不和の種を撒き続けた。
結果として第一王子と第二王子の対立は激しくなった。
「王弟殿下は対立を弱めようと色々なさっていましたね。
でも元々もめる要素は大きかったですから完全に沈静化させるなど無理な
話ですよ。
煽っていたのは私だけじゃあありませんでしたから。
第三王子のアナタに付いて来たのは王命でした。
まあ、あのまま国に居たら王子達の争いに巻き込まれたでしょう。
もう一触即発な状態だったんですよ。
王弟殿下は多少は気付かれてたようですが前王陛下が戦争なんか始めたので
後始末に追われてましたからね。
第二王子が事を起こすのを防げるかどうか……
興味深いところです」
うへぇ……この人面白がってるのか。
それにしてもそんなに切迫した状態だったなんて王太后様や王都の方々は
気付いて無かったのかねぇ。
「私は口出しの出来ない立場よ。
でも、情報が入っていなかった訳じゃあないわ。
王都でも多少の警告くらいはしてるでしょう。
王子達がどうするか、あの曲者な王弟がどう動くかなんて私達が
口出ししてイイコトとは思えないわね。
退位さわぎの戦争の時に国を解体しても良かったかも知れない。
だけどそれをしてたら魔王国との戦争でダメージが大きかったこの国には
負担が大きいと判断したんだと思うの。
良くも悪くもあの国が無いと人の国々の間のバランスが……ね」
前世の世界でもそういう話は聞いたことが有る。
「ハプスブルク帝国を崩壊させるのはご自由ですが、
これは多民族を統治するモデル国家であり、一度こわしたら二度と
もとに戻ることはないでしょう。
後には混乱が残るだけです。そのことをお忘れなく。」
ウィーンを占領したナポレオンに外相のタレーランが送った手紙だ。
多民族国家を運営するためには最上のモデルだとまで言われたその帝国は
タレーランの言葉通り解体のあとは長い混乱が待って居たのだ。
英国首相チャーチルも
「ハプスブルク王朝が滅亡しなければ、中欧の諸国はこれほど永い苦難の歴史を
経験しなくともすんだであろう」
と言ったそうだ。
千年近い歴史の国を解体したとしたらその影響はこのオリーザ国だけで
済むとはとても思えない。
人の国はこの国と西の国だけではないのだ。
オレは侍女長の詳しい鑑定をしている。
彼女との接触はほとんどなかったから詳しくは鑑定してなかったんだよ。
勝手に鑑定するのはマナー違反な気もしてたし。
そうして彼女の言っていることは本当の事だと結論がでたんだ。
それと一つだけ彼女の思っている事とは違う事が判明した。
彼女の子供は生きていた。
死んでなかったんだよ。
でもコレ……教えていいものなんだろうか?