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645・お召し上げ。

 真っ青な顔の侍女・近衛騎士の妹さんをソファに座らせた。

座るようにとグラディス王子に命じて貰ったんだ。

彼女が体調不良なのは誰が見ても分かるくらいだったから。


少し質問をさせて下さい。

どうして帰って来たんでしょう? 


「な……なんのことでしょうか? 

わたしは西の国の出身で帰るといったらアロート国なんですが……」


あー……隠蔽の魔法をかけてますよね。

でも私は鑑定のレベルが高いので多少のモノは無駄なんです。

アナタが何処の誰なのか全部分かってるんですよ。

その上でお伺いしてるんです。

事件はもう全部処理されてますから。

アナタが帰って来ても何も出来ませんよ。


絶句したまま目だけがキョロキョロと動いていた。

多分どうしたら良いのか戸惑っているんだと思う。

いじめるつもりは無いんだけどね。


「処刑もあり得ると分かっていました。

でも向こうの国に居ても私には何も分からなかったんです。

ココに私を送り込んだ男も教えてはくれなかった。

そのくせ私は捨て駒にちょうど良いから使ってやるって言って……


帰国して元使用人に連絡が取れたのでお父様が自決されたことも知ってます。

でも、兄のことは何も分からなかった。

誰に指示されたのかも……

遺体が何処に埋められたのか……知りたかったんです


それが分かれば供養が出来るかも知れないと思って……」


コレは教えて良いものだろうか? 

襲撃の経緯についてもまるきり知らないみたいだね。


王子に許可を貰って王太后様にも来てもらって彼女に事の顛末を教えた。

彼女の兄がオーガに変身したこと、変身したのが彼だけだったこと、そうして

それが「禁忌の魔術」だったこと。


王子はその魔術について知っていた。

禁じられた品々や魔法・魔術、その他モロモロが封印された宝物庫の中に

保管されているという話だった。


「アレを開ける権限は王が持っている。

だが、どうも最近侵入者が居た形跡があるらしい。

つまり盗み見ていったヤツが居るかも知れないってことだ。

襲撃の指示は多分前王が出されたんだと思う。

でも、証拠が何処にも見当たらなくてね」


襲撃者は五人だった。

でも、変身したのは彼一人だけだ。

ある意味不安定な代物だったんだろう。

他の四人は変身しなかった。

「できなかった」の方が正しかったんだと思うね。


尋問に彼等は素直に応じていたそうだ。

何か妙な魔術を掛けられたとも言っていたと。

全員が変身していたら……と思うとゾッとするね。



「私は襲撃犯の家族です。

連座や縁座で処刑されるのも覚悟して帰国しました。

ご存分にして下さって結構です。

でもどうか兄の遺体がどう処分されたのか教えて頂けませんでしょうか?」



兄君の最後の様子と遺体…… いや、お墓の場所を知りたくて帰国したのか。

でも、彼のお墓はこの世界の何処にも存在しないんだ。


管理神様がお召し上げにされてしまったからね。


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