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638・手紙。

 どうもこうもなかったよ。

翌朝二人に会ったらもう結論を出してたんだ。


「神官様から息子にスキルが付いたと教えていただきました。

スキルを伸ばす教育もしてくださるとか……

有り難いとは思いますが本当によろしいんでしょうか? 

私達はタダの平民で奴隷なんですが」


本人の為と言えば聞こえは良いけどね。

この国は戦争をした。

戦争は消費するだけで生産はしない。

武器は造るだろうって? 

造るよね。確かに。でもそれすらもどんどん消費するんだよ。


最新の技術、山のような軍需物資、そうして命……

国中のあらゆるモノを喰い尽くして国力は大幅に落込んだ。

戦争の勝敗は引き分けと言って良いだろう。

でも国内の現状は敗戦国とさほどかわらないように見える。


足りないモノばかりが山のようにあるんだよ。

だから有るモノを活用するしかない。

スキルの有る人は有能な人と言って良い。

ちゃんとスキルを伸ばせれば国力の強化に繋がる貴重な「人材」なのだ。

今はまだレベル1でも訓練次第でレベルは上がる。

国の役に立てる「人材」になってほしいんですよ。


「国の為とか考えてもみませんでした。

この子はそんな国の為になるような人になれるんですね」


国のためになんて大げさなコトを言いましたがスキルの有る人は有能です。

それは周りの人達を助けてくれる力になるんですよ。


「お父さんとまた分かれるのは寂しいよ。

でもボクがこのスキルでお金を稼げるようになればきっとお父さんを買い戻せる

と思うんだ。

お父さんが奴隷になって何処に居るのか分からなかったんだ。

伯父さんも教えてくれなかったんだよ。

でも今はココに居るって分かってるから安心だと思う。


頑張ってスキルを伸ばしてお父さんとずっと一緒に居たいんだよ」


まだ十一歳だったハズだよな。

でももう自分の意思でどうするか決心している。

ホントならまだまだ保護されて居ないとイケナイ歳なのに。


孤児院で字を覚えた子供達は少なくない子達が親に手紙を書いている。

親が喜ぶかどうかは分からないけどね。

親が死んだ子ばかりではないので神殿の教会経由で届けてもらっている。

まあ、字の読める親ばかりではないから神官様達に読んでいただいてるんだよ。


だからこの子にも手紙を書くように勧めた。

費用はオレ持ちだしね。



 息子からの手紙を自分で読みたいと思ったお父さんは神官様に文字を教えて

もらうことにしました。

お父さんが文字を習って居るのを見た他の奴隷の中からも文字を習う者が出て

来たそうです。

少しだけこの国の文盲率を下げたみたいですね。

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