61・編纂要員。
嫡子組は寮生と親族の屋敷からの通学生が居るそうだ。
寮生でも週末など定期的に親族の屋敷に戻ったりもするという。
でも庶子組の生徒はほとんど全員が寮生だそうだ。
中には学園から外に出たことすらほとんど無い生徒もいるんだとか。
「護衛付きで外出するのは別に禁じたりしてないんですがね。
旧都は別に魔境でもなんでもないんですからもっと親しんでもらいたいと
思ってるんですよ。
ココを卒業してからのことを考えたらもっと『外』に馴染んで欲しいところ
なんですが……」
『外』の様子を知るのも社会勉強ってところかね。
カリキュラムにそういうのは入ってないんですか?
「保護者な方々の要望は学問と戦闘術ですからね。
今のところそういうのは入ってないんです」
王太后さまは寮生だったそうだ。
なので嫡子組の寮の空き部屋とかも見せてもらった。
でも、こんな子供が教師に連れられてアチコチフラフラと見て回ってたら
目立たない訳がない。
案の定アチコチから不審な目で見られてるのが分かったよ。
コレ……後でどう説明するんだろう?
「ご心配なく。アスレチックはみんなに評判が良かったですからね。
アレの関係してる家の方が見学に来たと言えば納得しますよ」
お気遣いありがとうございます。
お仕事を増やしちゃって済みません。
ところでコチラで使ってる教科書とか分けていただくコトってできますか?
「まだ7歳じゃあないのにもう教科書を?
いささか早すぎませんか?」
祖父の書斎で辞書を見つけたんですがコレが持ち上がらなかったんです。
私でも使えるような小型で軽いモノを探したんですが見つからなくて……
コチラにお世話になるまでに教科書に即した辞書を準備したいと思いまして。
まだ手伝ってくれる人も見つかってないんですが。
「教科書に即した軽くて小型の辞書……ですか。
う~ん……そんなことは考えてもみませんでした。
そうか……ソレがあればもっと勉強が楽だったかも……
ココの図書館にもありますがそういえば生徒がアレを使ってるところは
見たことなかったですね。
大人の従者が代理で調べに来てるのは時々ありますけど」
商業ギルドじゃあその手のコトが出来る人が少なくて……
コチラに廻してもらうのはちょっとできないみたいなんですよね。
先生方のお知り合いにそういう方って居たりしませんか?
「辞書の編纂……ですか……
ちょっと私では心当たりはないですねぇ。
学園の他の教師たちにも聞いてみますよ。
教科書に即したモノということなら協力してくれそうですからね」
教科書は後から届けてくれるという話だったんだけどねぇ。
なんと初級から最上級まで全部届いちゃったんだよ。
まだ入学もしてないのにこんな『山』を征服しろ! と言われても(汗。)
ま、まあ、まだ生徒じゃあないんだから「積ん読」ってコトで。
学園の先生方からの紹介と言うことで辞書の編纂要員候補が訪ねて来たのは
三日後のことだった。
う~ん……大丈夫かねぇ、この人。
なんだか枯れ木の切り株って感じなんだけど……




