表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
629/770

626・初デート。

 グラディス王子だけなら接待はいつも通りで良かったんだけどね。

リリア王女まで御出なのでいつもとは少し違う趣向にすることにした。

アーティストギルドの芸人さん達を呼んだんだ。

舞台もあるし観覧席も特設してある。

いつもは王太后様やおばあさま達が観客なんだけどね。


ココに何度か来ている芸人さん達はいつもとは違う観客に驚いたけど客は客だ。

いつもとは少し違う緊張も感じられたけどね。

大道芸なんかは貴族・王族は気楽に見ることなんかは出来ない。

お忍びで街中をウロウロするなんてのも普通は論外だ。

ウロウロしてるオレ……ハハハ、やっぱり前世の記憶のせいってことだよね。


「パーティを盛り上げるとか王侯貴族の無聊を慰めるために宮廷に居る道化師達

とは雰囲気が違うんだな。

見たことも無い芸もあって面白かったよ。

だが館に舞台やら観覧席やら設置したのは誰なんだ? 

昔から有ったようには見えないんだが」


あー……設置したのは私です。

名前を言えない高貴なお客様を接待しようと思ったんですよ。

まあ、あの方のご希望に沿っていくととんでもないことをさせられたりします。

こんな幼児に無茶降りは止めて欲しいんですけどね。


「あー……そうか……

退屈されているというあの方か……

……お前も苦労してるんだな。

もっとノンキに過している気楽なヤツだと思っていたよ」


「ヘンリーには色々と迷惑をかけてるわね。

本当に幼児なのに済まないとは思ってるのよ。

でもオカゲで随分と助かってるからついつい頼ってしまうのよ。

ごめんなさいね」


出来ることは多くない。

おっしゃるとおり幼児だからね。

オレの持ってる知識はココに合わないことも多いんだよ。

それでもヒントになるならとも思うんだ。

今すぐでなくてもいつか役立つかもしれないし。



 お二人は楽しげに帰って行かれた。

恋人は無理でも友人にはなれそうな雰囲気だったよ。

王子は護衛も監視も付いている。

自由に動ける気楽な身分ではないのだ。

この館は宰相家のものだから何かの陰謀には使えないのは明かだ。

王子には「気の抜ける場所」になったのかもしれないね。


ところでおばあさま……

それってあんまり褒められたことじゃあ無いと思うんですけど。

勿論、ご一緒に居られるソチラの方もです。

ノゾキとかストーカーとか貴婦人がすることじゃあありませんよ! 


「だってぇ……気にするな! って無理でしょ! 

初デートなのよ! 初デート!」


王太后様……平穏無事って言ってましたよね。

お二人の平穏無事を乱すようなことは控えて欲しいんですけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ