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618・名乗り。

「……なぜ私がアロートの王子だと分かるんだ?

私は名乗っていないんだが」


名乗らなくても浮いてますから一目瞭然ですよ。その服装では。

それに今年はリリア王女が入学されたことでほとんど今年の入学予定者が

すでに在籍登録を済ませています。

つまり見かけない方というのは限定されてきます。

リリア様の婚約者が入学されるというのは先日周知されてました。

まあ、そこまで情報があれば私でなくても分かりますけどね。


ああ……敗戦国・アロートの衣装は含みを持った目で見られます。

特別必要な時で無い限り他の衣装をお薦めしますよ。

魔王国との戦争直後に難癖付けて来たことにおさまらない気持ちを持ってる者も

多いですからね。


「敗戦国か……確かにそうだが私は王族だ。

そう簡単にこの衣装を脱ぐわけにはいかない」


ココは学園です。

学園生は建前とはいえ平等ということになっております。

初代国王陛下がそうお決めになりました。

上着の一枚くらい脱いだところで誰も咎めたりしませんよ。

まあ、平等とはいっても礼儀は守っていただきたいところですが。


彼が叩き落とした本を魔力のヒモで拾い集め「クリーンの魔法」をかけて

背の高い本棚のアチコチに戻した。

王子は魔力のヒモを感知出来ないようだった。

でもお付きの護衛さんが驚いた顔をしている。

なるほど、見えてるのね。


お目障りなようですので今日はこれで失礼いたします。

早く学園になじめるようお祈りいたしますよ。


「まて! 私はアロート国の王子・グラディスだ。

お前の名前を聞いて置きたい」


うわあ……先に名乗られちゃったよ。

しらばっくれて名乗りは省略して逃げようと思ったのに。

まあいいや。

どうせ彼は人質代わりなんだろう。

多分イザと言うときは捨て駒にされると思う。

宰相閣下や陛下はその辺りは重々承知なんだろうな。


ヘンリー・ケントと申します。

低学年・中学年のほとんどの学生と同じで庶子ですのでお見捨て置き下さい。


そうしてオレはさっさとその場を後にした。

王族な方々なんぞオリーザ国と魔王国でお腹一杯だからね。

庶子なオレなんかに構わず「お役目」に励んでてほしいもんだよ。


 

 暫く学園には近付かないことにした。

会う機会がなければ厄介事も寄ってこないと思ったんだよ。

でも王子は今、オレの前でお茶を飲んでいる。

そうして楽しげな王太后様……

ため息をつくなって方が無理だ! 


だから……その笑顔を引っ込めてくださいよ。

王太后様。

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