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48・辞書。

 クラフトテープや布テープはまとめてガムテープとも呼ばれている。

でも無いものはどうしようもないね。

なので造れないかと錬金術師のロザさんに泣きついた。


接着剤をテープに付けて巻いたものだと説明する。

なんでそんなものを? と変な顔をされたけど探してみると言ってくれた。

出来てきたのは粘着力の強弱が十段階に分けられたモノだった。

最弱で剥がしたり貼ったりが簡単な付箋のアレくらいで最強は十キロくらいの

石の重しも平気で持ち上げられるくらいだった。

な、なんか用途がありすぎる気がするんですけど。(汗。)


布と紙の表面になにやら塗りたくってツルツルにしたうえで反対側に

粘着剤をヌリヌリと。

段ボールの切れ端に巻いてなじみのガムテープの形に仕上げた。

コレで段ボール箱の側面と底を張り合わせる。

真ん中手前くらいの強さのが段ボール箱には一番向いてる気がしたね。


カール君は段ボール箱と各種強度のガムテープを持ってギルドに飛んで行った。

コレで暫くおとなしく黙っててくれるかな? 

でも彼がギルドに出かけてからワンタッチで底が組めるタイプがあったのを

思い出しちゃったんだ。

手紙に書いて図解もして警護兵にギルドまでお使いに行ってもらったよ。

前世の記憶も都合よく思い出すことがいつもできるって訳じゃあないって

分かったね。



 色々書き留めていると芋づる式に思い出すコトが増えていく。

普段意識していない記憶でもきっかけさえあれば思い出せたりするんだね。

細かく詳しく関連事項も漏れなく書いていると山になってしまう。

でもせっかくの前世の記憶だから忘れたくないんだ。

コレが何の役にも立たないモノだとしても。


不意に前世の言葉の意味が分からなくなったら……と思ってしまった。

……辞書か……オレでも造れるだろうか。

書いた文から単語をひとつづつ拾って分けて意味を付ける。

単語ノートのようなモノが少しづつ成長していった。

完成って言える時が来るだろうか。

まあ、コレは人生の暇つぶし……かもね。


ココの言葉は英語や中国語と同じような構文になっている。

なので少し馴染みやすい気がした。

英語は得意じゃあなかったけどやらないと鬼な姉たちがね……怖かったんだ。

文法……手こずったからなぁ。

でも、知ってることが役立つってのはうれしかったよ。

姉たちにはもう会えない。

ココからじゃあ届かないだろうけど感謝しておくことにしよう。


そういえばココの言葉の辞書ってあるんだろうか? 


「ございますが分厚すぎるので王宮とか学園の図書館とかあとは……

そうですねぇ……言葉について関心のある貴族家ですかね。

もちろん当家にもございますよ」


へぇ~……軍人だって話だったのに意外とインテリだったんだな、前当主さま。

あ! おじいさまって呼ばないとイケナイかもしれない。

まあ、ご本人はもういないからどっちでもイイかな。


辞書を見せてもらって驚いたね。

まるで百科事典みたいに分厚くて重い! 

これじゃあ子供が気軽に使えるわけもないよねぇ。

誰かにお願いして学園の子供達でも使えるくらいのモノを仕立ててもらおう。

だって自分でヤル気にはなれなかったんだよ。

辞書のあまりの分厚さに……ね。

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