41・世界の制限。
神殿長との面接……いや面談も終わったのでお祈りをさせてもらう。
ココは神殿だからお参りする人は絶えないけどなんというか身分別に
お祈りの席が設定されている。
まあ、貴族・王族が最前列で平民は後方ってだけだけどね。
神さまの前ではみんな平等なハズだと思うけど分けておいた方がトラブルが
少ないとなれば分けたくなるのも無理ないよね。
神殿まで一緒に来てくれたおばあさまたちもお参りしていくというので
全員貴族席に案内された。
平民でも貴族の同行者ならお供ということで構わないらしいね。
でも貴族席でも末席になるようだけど。
この世界の神殿には人に似た神さまの像は設置されていなかった。
太陽のような形をした大きな像が正面に掲げられていたよ。
やっぱりシンボルになりやすいのかね? 太陽って。
ともかくココの世界に転生させていただいたことを感謝してお祈りした。
いろいろ普通の子と違うのに受け入れれくれたおばあさまたちにも感謝してると
報告する気持ちでお祈りしたよ。
うん……まさかまたアノ白い部屋に招待されるなんて思ってなかったね。
あのー……オレなんかやりすぎちゃってましたかぁ?
「まあ、多少……ですね。
一年たってないのに大人並みの魔力量ってスゴイというかあきれたというか……
そんなに急がなくていいんですよ。
もっとのんびり生きていけばいいと思うんですけどねぇ。
前世の真面目でせっかちなところが出ちゃったんですかね?」
す、すみません。
記憶が残ってるせいだと思うんですが何かしてないと落ち着かないみたいで……
「気持ちは分からないでもないですがね。
あなたはまだ名前も付いていない赤子なハズなんです。
成長が異常なせいで並みと違ってますけどね」
あれ? オレってまだ名前無かったんでしたっけ?
「あなたの居る国だけじゃあないんですがこの世界では子供の死亡率がまだ
かなり高いんです。
正式に命名されるのは1歳の誕生日が来てからなんですよ。
『若様』としか呼ばれてないでしょう?」
あー……そういえば……
なんで気づかなかったんだろう?
役職名で呼ばれてる気分になっちゃってたのかなぁ。
ミカケはもう三歳くらいになってるけどまだ一年たってないんだよね。
「あと、気にされてるおヘソですけど付けますか?
アノ世界にあるような、まあ美容整形みたいなモノになりますけど」
ソレってアナタ様がして下さるとか?
「ちょっとツツクだけですからね。簡単ですよ(笑。)」
ちょっと迷ったね。
でも辞退させてもらうことにしたよ。
なんか怖い気がしちゃったんだ。
無くても不自由はしてないし……ね。
神さまのご厚意を辞退するのは気が引けた。
でもヘソなしでもおばあさまは気にせず家族だと言ってくださっている。
だから生まれた時のままにしておきたいと思ったんだよ。
「私のことなど気にしなくていいですよ。
日常生活に神など必須なものではありませんからね。
神職な人たちと一般人は心の向く方向が違って当然だと思ってます。
あなたが神職に就かれてもべつに反対はしませんが」
なんか「見取り」ってスキルのせいで色々できちゃってるんですけど……
「そうですねぇ……教えておきましょうか。
あなたの前世の世界は魔法が無いことになってましたよね。
アレは創造者がアノ世界にかけた制限のようなものなんです。
我々管理神程度じゃあとても変更などできないんですよ。
ココの世界にも制限がかかってるんですが実は……
勇者が産まれないんです。
魔王は居るのに勇者が居ないんです」
そ、それって……(汗。)
だから勇者の召喚をしてたのか……
召喚された勇者ってこの前来てた王都の勇者だけじゃあないって話だったけど。
でも、ソレとオレにどう言う関係があるんだろう?




