330・薬と毒。
この国に限らず他の国でもお砂糖は高い。
なぜなら産地が限られるからだ。
この大陸の南西の長い半島のような国のみで採れるという。
引く手数多な輸入品となれば高くて当たり前だよね。
なのでよく使われるのは蜂蜜と麦芽から造る水飴だ。
今回の樹液はもしかしたらその仲間に入れて貰えるかも知れない。
なので旧都から戻ってきたカール君に試食してもらったよ。
「あ! 美味しいですね。
くどくも無いですし。
濃縮したのって蜂蜜の代わりくらいには使えると思いますよ」
なるほど……カール君はギルマスの息子だからソレナリのお坊ちゃんだ。
つまり結構口が奢ってる。
グルメまでいかなくても味の善し悪しくらいは分かるってことだ。
これなら結構イケるかも……
なんてちょっと考え込んでたら「試食」のはずなのにバクバクゴクゴクと
もう食べ過ぎ飲み過ぎだよ!
まだ説明途中だったのに……
お腹がゆるくなる可能性があるんだけど。
「す、すみません。
昼食を取り損なってたんで……つい……
お腹がゆるくなるってどういうことなんでしょうか?」
子供限定なのか分からないんですがお腹がゆるくなる子が居るそうです。
だからあんまり食べ過ぎ飲み過ぎは良くないみたいです。
もっとも重大な効果じゃあないみたいなんですけど。
「オレのお腹が下るかもしれないってことですか。
まあ、そうなったら症例その一ですね。
気にしなくていいですよ。
一応、薬師にも検証して貰いましょう。
下剤代わりになるならそれはそれで貴重ですよ。
薬も使ってると効かなくなる物が結構ありますし」
なにか薬で困ったことでもあったんですか?
「親戚がちょっと……
禁止されてる薬に手を出しまして……
それがだんだん強いモノでないと効かなくなってしまって……
気付いた時には悲惨なことになってましてね。
神官様達でも一度や二度の治療じゃあ元に戻らなかったんです。
それにクセが付いたとでもいうか落ち着いたと思った頃またやりまして。
今は修道院に預ける形でほとんど幽閉されてます。
薬さえやってなければイイヤツなんですけどね」
あー……それって「ちょっと」じゃあないよなぁ。
ココの国にもそういう禁止薬物って有るんだね。
神官様の治療にそういう患者も入ってるのか……
オレにそういう治療を廻してこなかったのは多分子供に対する配慮だろう。
中身は大人のつもりだから気にしなくても良かったんだけど。
薬は実は毒でもある。
酒でさえ「百薬の長」の他に「百薬の毒」という呼び名が有る。
適量はそれぞれかもしれないけどお酒に強い人はそれに油断しやすい。
飲みすぎたりしてかえって肝臓をやられたりするからね。
でも毒は薬になることも多いんだ。
{用法・用量を守って』……と薬の説明書には必ず書いてある。
せっかくの「薬」が「毒」にならないように。
でもまあコレで樹液のことについてはカール君に丸投げでいいよね。
細かいことは全部お任せだ。
頑張れ! カール君!
北部の収入になるように期待してるよぉ~~(笑)。




