327・食料庫。
宰相家の北の領地に戻ってきた。
待ち構えていた代官達に捕まっちゃったよ。
オレには何にも権限なんか無いって知ってるはずなんだけど。
「領主様がご自分の子供とお認めになられてます。
次期当主候補なのは間違いありません。
当主様は結婚されましたが後継がどうなるかはまだまだこれからです。
それに領主様はほとんどコチラにお出でにならないので……
多少なりともココの事をですね……」
定期的に報告書を提出したり王都まで出向いて報告したりしているそうだ。
でも閣下は宰相だから自分の領地に構ってばかりは居られない。
現場担当な代官達にしてみればもっと知って欲しいことが沢山あるってことか。
でもオレの出来ることってこの人達の愚痴を聞いて上げることくらいだなぁ。
結局、四日程かけて領都の周辺を視察させられたよ。
つ、疲れた……(汗)。
お隣の男爵領とさほど変わらない風景が延々と続いていた。
人口は少ない、産品の品目も少ない、周辺の領地はどこも皆似たような状況だ。
領民が出稼ぎに出ても経済的にはさほど潤っていない。
領主は他の領地からの収入を廻して維持しているみたいだね。
ココしか領地が無かったらとても立ち行かないってことらしい。
大きな産業も無い寒いだけの痩せた北の大地か……
北の大地と言ったらあの国なら北海道だけどあそこは『食料庫』を自称するほど
農業が盛んだった。
オマケにココは聞く限り北海道ほどは寒くないみたいなんだよね。
やっぱりこの北部に合う作物も探すのが早道かもなぁ。
北海道か……
産物と言えばトウモロコシ・タマネギ・ジャガイモ・ニンジン・キャベツ
ダイコン・大豆・大麦・小麦・ソバ・小豆・テンサイ・アスパラガス
などなど……オレが思い出せるだけでも山のようだったね。
もうなんでも作っちゃえる所って印象だったよ。
しかもこれらは農産品だけだ。
畜産や漁業も入れたら確かにあの国の『食料庫』だよなぁ。
でもココにはそういう作物ばかりは無いもんな。
小麦……のようなものはある。
でも耐寒性が低いのか北部の収穫量は少ないね。
豆類……のようなものもあるけど北部ではあまり見かけない。
豆類は根粒菌との共生によって空中の窒素を肥料として取り入れる能力がある。
もっと普及させても良いかもしれない。
国の北部とはいえ北海道並みの雪は降らないみたいだし地味を肥えさせられれば
今よりずっと作物の収量が増やせるかもしれない。
後はなんだろう?
新しい作物の導入……
まあ、春にならないと無理だろうけどね。
ジャガイモなんか試してみたいかな。
アレなら寒くてもソレナリに収穫が有りそうな気がするんだよ。
比較的収穫量が多い穀物・セタルとかオビスの餌だという蕪なんかを
見せてもらった。
見て驚いたのはセタルだった。
何処からどうみても「猫じゃらし」そのものにしか見えなかったんだ!




