30・勇者のアドバイス。
王都に来ていた勇者は色々と商売や商品のアドバイスをしていったそうだ。
ギルドが作ってくれたリストを見れば彼が情報通なのがよく分かる。
これだけのアドバイスが『王都のギルドの関係者だけ』にもたらされたとすると
旧都のギルド側が焦ったのも無理ないな。
胡散臭い赤ん坊でも試してみようって気になっちまったんだから。
それでも勇者のアドバイスは大きな改変とかまでは行っていない。
ほんの少しの変化・変更とでも言うものだろう。
まあ、実用新案に近いと思うね。
大きな変化は反発をも招くしココの世界には早すぎるコトもあるだろう。
勇者殿はその辺りを配慮してたフシがある。
恐れ入りました……だね。
なので同じモノ・コトに関するアドバイスは控えることにした。
彼のアドバイスの結果が広まって効果が落ち着いた頃のほうが余計な摩擦を
起こさないで済むと思うからね。
オレはまだ幼児だから大人になるまで時間がある。
時期を見計らう時間的な余裕があるってコトだ。
まあ、先のお楽しみってトコかね。
勇者のアドバイスには子供や女性向けのモノがほとんど含まれていなかった。
もしかしたら独身男なのかもしれないね。
でも、これだけのアドバイスが出来るなら多分成人で仕事もデキるヤツだと思う。
戦争を停戦に持ち込んだと言う話だから機を見るに敏ってヤツかもな。
三人の姉達のオカゲでオレは女性向けの事柄には詳しい方だと思う。
子供のコトは今現在オレ自身が幼児だからね。
しかも中身はおっさんだから自分のことを上手く言えない普通の幼児とは違う。
オレ自身がお子さまモニターみたいなものだ。
この辺を生かしていけばイイセン行きそうな気がするね。
カール君が魔道具の試作品を持ってきた。
ハンドミキサーは料理長に試して貰うことにした。
卵が今の時期は無いから使えないかと思ったけど重曹とかベーキングパウダーの
話をしたらソレを使って生地を造ってみるという。
さすがにベーキングパウダーは無かったけど重曹はキッチンに常備されていた。
重曹は山菜のあく抜きに使ったり肉や豆類を柔らかく煮るのに使うので。
卵が入っていないケーキはやっぱり『別物』だったけどね。
ビスケット・クッキー・スコーン……名前は色々あるから明確に区別するのも
無粋かも知れない。
「重曹を生地に入れるなんて考えもしませんでしたよ。
アレは肉や豆を煮るのにも使いますが入れすぎると悲惨ですしね。
無発酵のパンもありますが重曹だとまた膨らみ具合が違って面白いですよ。
でも発酵するまで待ってなくてイイってのは便利ですねぇ。
水分・油脂分・卵の分量……」
な、なんかもう自分の世界に入っちゃってるんだけど(汗)。
ほっといて次に行ってみよう……
電気カミソリならぬ魔力カミソリは警護兵のみんなに。
人数分には足りないんだけどその辺は順番ってことで。
でもやっぱり普通のカミソリの方がイイって人はいたね。
実を言えば前世のオレも電気カミソリより普通のカミソリの方が好きだったんだ。
好みにケチは付けられないよね。
ドライヤーは自信があったんだけどねぇ……
メイド長のマリアさんからダメ出しが来た。
「生活魔法で簡単に水分を分離できるって分かっちゃいましたから……
アレ……メイド仲間の間で口コミで広まっちゃってるんですよ。
クリーンの魔法もレベルアップが有るって分かりましたしね。
オカゲで皆の仕事が楽にはなりましたよ」
あー……そうだった……すっかり忘れてた。
生活魔法で扱う水分って水を出すだけだったそうなんだけどオレが分離とか
コントロールとかができるって教えちゃったんだった……
う~ん……ヘアアイロンとかホットカーラーの方が良かったかなぁ?
メイドさん達に人気だったのはネイルケア製品だったよ。
磨いてツルツルピカピカにするだけなんだけどね。
ココにはマニキュアは無かったんだ。
爪を染めるのはオレンジ色の花から取った染料だった。
加工すると赤く変化するそうで布も染めてるらしい。
マニキュア……なんとかならないかな?
アレが有るならネイルアートも出来ちゃうからね。
でもオレって成分とか知らないし……
錬金術の出来る人とかなら造れるかもしれない。
カール君に調べてもらうことにしよう。
おねえさん達をキレイにするのは楽しいからね。




