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28・パッチワーク。

メイドさんの名前を変更しました。

リリィさんをデイジーさんに。

王女さまをリリアさまにしたのでちょっと紛らわしいかも……と

思ったんです。

お花の名前が自分の名前って可愛くって羨ましいです。

 ソレはポトンと廊下の隅に落ちていた。

あり合わせとしか思えない布を縫い合わせて作ったらしい塊だった。

でも熊みたいな感じにできあがっていた。

「ヌイグルミ」だよね……コレ。


オレが作ってもらったヤツは毛皮製だった。

コレは端切れな布で出来ている。

誰かのお手製ってコトだね。職人さん達が作ったんじゃあなくて。


犯人(笑)はすぐに判明した。

キョロキョロと探しに来たからね。

おばあさまの世話係のメイドさんだったよ。

名前はデイジーさん。

おばあさまのお気に入りの一人だね。

オレがヌイグルミを手にしているのを見て「しまった!」という顔した。


「すみません……ソレ……私のです。

勝手にヌイグルミを作って申し訳ありません」


別に構わないけどね。

ココにもパッチワークが有るなんて気づかなかったよ。

配色はイマイチだと思うけど見ただけでよく出来たねぇ。


「……パッチワークってなんでしょう?」


こういうふうに布を縫い合わせて大きな布にする手芸だよ。

ヌイグルミにすることもあるしキルティングをしてベッドカバーや壁掛けにしたり

額絵やバッグを作る人も居たね。


「面白そうね。

少しその『手芸』の話をしてみてくれないかしら?」


気が付けばおばあさまが覗き込んでいた。

あー……なんか捕まっちゃったって感じ? 


手芸は山ほど種類が有る。

基本は「趣味」だってことだね。

創作的で個人的生産活動ではあるんだけど極めちゃって

「作家さん」と呼ばれる人も多い。

好きなコトだと続けているだけでかなりのレベルになってたりするからねぇ。

プロほどでなくてもね。


折り紙用に造ってもらった色紙や千代紙もどきを正方形に切って並べる。

色々並べ方を変えて見せた。

意図は理解してくれたようだ。


「あぁ……なるほどねぇ……

並べ方……つまり縫い合わせ方で模様が変わって見えるわね。

元は同じでも違う模様が造れるなんて楽しそうだわ」


そうです。

定番の模様も色々有ってそれぞれ名前が付いてたりします。

初心者用のキットも売ってましたし端切れのセットも売ってましたよ。


「ソレってココでも売れるかしら?」


う~ん……どうでしょうねぇ……

パッチワークって物資が足りなかった開拓地で特に盛んになったんですよ。

端切れでも大事に縫い合わせて使ってたんです。

ソレに色々工夫をみんながしていったのでもう芸術的な作品までできてました。

キルトに仕立てたモノだけを集めた専門の美術館までありましたよ。

売るならパッチワークが皆に綺麗で楽しいモノだと認めて貰うことからですね。


「アノ熊のヌイグルミは結構高めのお値段だったと思うわ。

でも毛皮じゃあなくて布で作れるなら平民の子供達でも買ってもらえると思うの。

キットがあればもっとお安くできそうよね。

なにしろ自分で縫えるんですもの」


なるほど……ヌイグルミを作ってもらった職人さんの店は服の店だった。

当然、端切れは出てると思う。

キットの販売も頼めるかも知れない。


ということで秘書なカール君のお仕事はまた増えた。

細かい商慣習とかはオレは知らないからね。

調整や宣伝は彼に丸投げしちゃえるから楽でいいやね。

プププ……頑張れカール君!  

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