27・視察。
職人さん達は遊んでいたのでは無いと言う。
「ジャングルジムが壊されましたからね。
大人が使っても大丈夫かどうか試しただけですよ。
ええ……遊んでた訳じゃあありまっせーん」
プププ……それにしては随分と楽しそうだったけどねぇ。
まあ、造ったのは彼等だから最初の使用者でも文句は無いよ。
時々点検に来て貰うことにした。
ついでに遊んでいっても構わないと言うことで。
大人な警護兵達のために造ったんだけど子供達が新しい「遊具」を
見逃すハズも無かった。
大人用のつもりだったんだけどなぁ。
落っこちないように気をつけてよー。
あぁあぁ……案の定落っこちてるよ……
う~ん、落っこちても大丈夫なようにネットとか砂場とか増やす方がイイかな?
カール君はオレが提案した魔道具についての報告と制作についての調査・調整の
為に商業ギルドに暫く出かけていた。
そうして戻ってきて「遊具」の山にビックリ仰天した。
遊んでいる子供達や「訓練」だと言い張りつつ取り付いている警護兵たちを
暫く注視していたが「ギルドに報告したい」とまた出かけて行ってしまった。
こんなのって商品にはしにくいと思うんだけどねぇ。
ところが話は妙なところに回ったらしい。
ココ旧都には貴族の子弟の為の学園が有る。
入学は七歳から随時だそうだ。家庭教師を雇う家も多いらしい。
それでも成人(十五歳)前に最低三年くらいは在籍するのが普通だそうだ。
社交は貴族には必須なのでその前哨戦みたいな面があるらしいよ。
その学園の関係者が視察させて欲しいと言ってきたんだそうだ。
もしできるものなら学園に設置したいということで。
おばあさまは了承した。
「学園だなんて懐かしいわねぇ。
詰め込みな勉強が多かったんだけどやっぱり楽しい所でもあったから。
わたしはもう『あすれちっく』なんか無理だけど子供達が嬉しそうに遊んでるのを
見るのは楽しいわ。
学園の生徒達が気に入ってくれると良いわね」
視察に来たのはデコボココンビだった。
ヒョロっとした背の高い男性とチビデブな男性の二人だった。
二人で遊具とアスレチックとボルダリングもどきをジロジロと見て回った。
あー……遊んでる子供のジャマはしないでほしいなぁ。
見るだけでは済まなかったようで結局二人で端から全部試していた。
挙げ句はアッチで落ちコッチで落ちして子供達に笑われていた。
まあ、あんまり体を使ってる人たちじゃあ無いとは思ってたんだけどね。
それでもどうやら彼等のお眼鏡には適ったようで商業ギルドと職人ギルドに
設置の依頼が来たそうだ。
この館ですでに造ってるので職人さん達には楽な仕事だったみたいだね。
学園の庭にできたソレラは生徒達の格好の遊び場になったそうだ。
もっともドレスの女の子は想定外だったのだけれど。
でもソコは職人さん達が女の子用のコースを特設したらしい。
サスガだねぇ。
でも女の子達にはブランコとすべり台の方が人気だそうだ。
淑やかな女の子たち用のアスレチックか……
ちょっと覗いてみたくなっちゃったよ。
べ、べつに変な意味じゃあないけどね。