26・遊具。
ソレはベンチ代わりのつもりで置いてもらった丸太だった。
座りやすいように上の部分を少し削ったんだけどね。
いつの間にやら平均台になっていた。
お子さまモニターズはモニターが済んだら庭で遊んで帰るようになったんだ。
なので少し遊具を設置してもらうことにした。
ブランコはもう有るので鉄棒とかすべり台とかね。
雲梯はなぜか一番人気だったよ。
苦労したのはジャングルジムだね。
組み合わせて山を造るってのがどうもよく分からなかったみたいだった。
でも職人さんは理解した後はサスガに仕事が早かったね。
もっとも鉄製とかじゃあなくて槍の柄に使ってる木材を荒縄で縛りまくって
組み立ててたんだけどね。
ところがある日ソレが壊れていた。
所々折れた上に横倒しになっていた。固定が甘かったかなぁ。
子供たちに壊せるほどヤワじゃあないと思ってたんだけど。
犯人は青い顔で名乗り出てきた。
ひとりじゃあ無かったんだ。
警護兵のお兄さんたちだったよ。
「申し訳ありませんでした。
子供達がずいぶんと楽しそうだったのでつい……
一人がやったら次々と皆が登ってしまって……あんなことに」
う~ん……オレの曖昧な記憶を元に造ってもらったヤツだからなぁ。
ココに安全基準が有るとも思えないし……
子供はオッケーでも大人じゃ危ないなんて思わなかったしねぇ。
警護兵さん達を責めても仕方ないよね。
まあ、耐久試験だったと思えばイイか。
ケガも無かったみたいだしね。
ところで皆はああいうので遊んだコトって無いの?
「遊具……でしたよね。
ああいうモノで遊んだことは全員無いと思います。
貴族さまとかお金持ちなら何か有るかも知れませんが食べるのに精一杯な平民は
ソレどころじゃあありませんから」
う~ん……公園みたいなモノは?
「公園ってなんでしょう?」
あー……市民に開放されてる庭かな。
つまり皆で使うことになってる庭だよ。
勝手に住んだら叱られるけど散歩とか子供と遊ぶための広場とかあるんだよ。
非常時には避難場所になったりするんだけど。
「非常時に貴族さまがお屋敷の庭を開放して下さることはありますが
ほんの一時的なモノですね。
散歩なんて平民はしてるヒマなんてありません。
子供はよほど小さな子じゃあなければほとんど放置ですよ。
仕事とかしてる子も多いですし。
公園なんて聞いたことも無いですよ」
やれやれ……遊びせんとや生まれけむ……のハズなんだけどなぁ……子供って。
警護兵さん達もあんまり遊んだりできなくて大人になっちゃったのかなぁ。
はしゃいで壊しちゃっても無理ないのかも。
でももう大人だからね。
子供の遊具をしょっちゅう壊されても困るよね。
大人用の遊具なんてあったかな?
ということでアスレチックもどきやボルダリングもどきを造ってみることに。
材料は丸太や荒縄のネットなのでそれほど集めるのには苦労しなかったよ。
ちょっと見張り台みたいな東屋までついてたのは職人さん達がノリノリに
なっちゃったからみたいだね。
完成したら職人さん達が真っ先に遊んでたのは見なかったコトにしておこう。
うんうん。