13・出資。
モンスター娘ことミーアがヌイグルミを離さないのでそのまま下がらせた。
そして彼女は次の日にはソレは自分のモノだと認識していた。
デカパイ母さんは恐縮するコトしきりだった。
「何度も若様のモノだからお返しするように言ったんですが……
どうしても離してくれません。
代金をお支払いしますからなんとかお譲り頂けませんか?」
う~ん……アレっておばあさまが特注したヤツだしねぇ。
聞いてみたらメイドさんの半月分のお給料くらいするらしい。
まあ、ミーアが一緒に居ると飽きないのであげることにした。
でも自分の分は確保したいんだよね。
大きさ的に抱き枕がわりにピッタリだったし。
造った職人さんは「安くしてもイイですがもっと沢山注文して下さい」と言う。
ということで三十個くらい来ちゃったよ!
どうしよう……コレ(汗。)
館のメイドさん達にあげてみた。
弟や妹のいる人も結構いて大分捌けたよ。
やっぱりミーアみたいに抱いて離さない子達が続出したみたいだね。
おばあさまもお友達にあげたそうだ。
すみません……在庫処分みたいなことをさせちゃって……
職人さんは暫くしたらアチコチからヌイグルミの注文が来たそうでお礼にきた。
なので色々とアドバイスをしてみたんだ。
丸っこい感じのデザインにするとか頭を大きめに造るとか元の動物の凶暴感を
控えめにとかね。
職人さんは普段は服を造ってるという。
服ではない注文に最初は戸惑ったらしい。
でも弟子の修行にもなるとかで仕事がふえたのを喜んでくれた。
今度は熊じゃあ無いヌイグルミも造ってみるって言って帰って行った。
彼の店はヌイグルミの専門部門を服とは別に設置したそうだ。
おばあさまは彼の店に出資したんだそうでソレナリの配当がきたらしい。
そういう事業に出資するのも貴族のお仕事みたいだね。
ココって銀行みたいな組織って無いのかな?
おばあさまのおっしゃることには商業ギルドがソレに近いらしい。
でも審査は結構キビシイそうでなかなか弱小なお店なんかはなかなか融資して
もらえなかったりするらしい。
前世だと信用金庫なんかは中小企業が融資対象だったんだけど……
「だから貴族は領地関係とかいろんな所に出資したりするのよ。
領地からの税金だけが収入じゃあないの。
人によっては領地からの収入よりそっちの方が多い方も居るわね」
なるほど……まあ金は天下の回り物って言うからね。
皆の所をお金が廻っていくのが経済ってもんだから。
ヌイグルミが無くても別に困ることが有るわけじゃあ無い。
でもミーアは抱きしめて離さないんだよ。
多分そういうモノは心を安定させるんだろう。
地震で全てを失った人が仮設住宅に持ち込んだものは実用品がほとんどで
無味乾燥な気分になってしまったそうだ。
ところが小さなヌイグルミをプレゼントされて飾ったら気持ちが落ち着いたと。
居間の棚に飾っていた旅行の土産物なんかはほとんど無視して生活していたけれど
無くなったらアレラは無用の用を果たしていたと気づいたと言う。
要らないようなモノでもちゃんと大切な役目を果たしてたってことだね。
自分のテディがあるせいかオレのには手出ししてこないので一安心だね。
でもオレの文字の練習のジャマしに来るのは相変わらずだ。
コレってオレは遊び相手って認識してもらえたってコトなのかねぇ?