10・クレヨン。
世話係のおねえさんは保育士や幼稚園の先生のような仕事をしてるそうだ。
大体貴族の子弟のお世話をしてるそうで五・六歳くらいまでが守備範囲らしい。
その先は専門の家庭教師付いたリ、学校に行ったりするという。
保育園とか幼稚園は無いみたいだね。
平民だと親族が預かることが多いらしい。
デカパイ母さんは預けるところが無かったんだそうだ。
執事氏やおばあさまの好意で館に居てもイイということになってたんだとか。
まあ、血相変えて子供を叱ってたのもなんか分かる気がしちゃうよね。
デカパイ母さんは戦争で未亡人になった上に戦死で出た慰労金を夫の親族に
取り上げられて家からも追い出されたんだって。
執事氏が同情しちゃったのもわかるよね。
オレだって同情しちゃったもん。
言葉が元の世界と違うのは気が付いてたんだよ。
でもちゃんとココの人の言葉は分かっちゃったんだ。
コレは神さまがスキルを付けてくれたのかと思ったんだけど最初は記憶が無くなる
ハズだったんだからそんなのが有るわけ無いよねぇ。
なんで分かるのかねぇ?
コレも聞いておくべきだったかもね。
でもまあ分かるんだからイイか。
文字も分かるかと思ったんだけどダメだったんだ。
なので教わろうと思ったんだよ。
でもねぇ……子供に文字を教えるとなったらまずは絵本だろうと思うよね。
絵本でなくてもカルタとか絵と文字のカードとかね。
でも無いんだよ。
いきなりアルファベットに似た感じの文字の書き取りなんかから始めるそうだ。
でもオレまだ一歳相当にも成ってないからペンはまだ無理だよな。
紙も鉛筆もあるんだけど(勇者達の残したモノらしい。)鉛筆が上手く持てない。
クレヨンなら! と思ったらコレも無かった。
ということでクレヨンを造ってみてもらった。
原料は蝋と顔料だけだしね。
溶かした蝋と水にも油にも溶けないタイプの着色剤である顔料を混ぜて固める。
まあ冷めれば固まるから簡単と言えば簡単だね。
できてるクレヨンを溶かしてマーブル模様なクレヨンを造ってる同級生が
居たのを思い出したよ。
ハートの形とかにしてて結構キレイだったっけ。
クレパスみたいな柔らかいタイプは油とかも入ってたと思う。
でも今回は普通のクレヨンにしてもらった。
まだ3色だけだけどね。赤・青・黄色……黒も欲しいところかも。
紙は真っ白とはいかないけど結構白い……かな。
みんな一度は漫画家になってみたいと思ったことがあると思う。
ハハハ、オレもその一人だったよ。
ということでお絵かきを楽しみながら絵本とかカルタとか造ってもらってまーす。
結構楽しいね。
世話係ねえさんは熱心だ。
ココのことわざとかまで教えてくれる。
ちなみに文字は意外と簡単に覚えられたね。
単語が面倒くさかったけど。
ところがオレがクレヨンでお絵かきしてるのを妨害するヤツが出現したよ。
コラ! ソレで部屋の壁を新しい模様にするんじゃない!!
デカパイ母さーんなんとかしてぇー!
娘がモンスターに変身してるよー!